NECプラットフォームズは5月23日、介護施設向けにエッジAIやIoT技術を用いて自動で排泄を検知し、職員に通知する「NECサニタリー利用記録システム」の販売を発表した。7月22日より出荷開始し、同社は今後3年間で2万台を提供する予定だ。製品価格はオープン価格となり、システム利用料は1800円/月(標準構成の1セットあたりの利用料)。

同システムはNECソリューションイノベータと共同で開発したもので、トイレに後付けできる光学センサを用いた「排泄検知ユニット」と、エッジコンピューティングによるAIエンジンでデータを処理する「制御ボックス」から構成される。

  • 「排泄検知ユニット」のイメージ

  • 「制御ボックス」のイメージ

同システムを活用することで、健康管理を目的とした介護職員のトイレへの付き添いが不要になり、施設利用者は遠慮することなくトイレ空間が利用できる。排泄データは、便座の下に設置した排泄検知ユニットから収集し、エッジAIで分析した排泄情報を利用者情報と共に担当する施設職員が閲覧できる専用アプリへ通知する。

  • 「職員向けアプリ」の利用イメージ

  • 「職員向けアプリ」の利用イメージ2

人間の尊厳の1つである排泄に関して利用者のプライバシーを確保するため、排泄に関するデータの分析処理はトイレに設置した機器内で完結させる。光学センサから取得したデータは分析後すぐに廃棄、便量や便の性状など必要最低限の情報に加工して利用する。なお、排泄に関するデータは本人の同意のもとで収集し、「NECサニタリー利用記録システム」内のみに使用して、他の目的に使用することはない。

また、同システムにより職員の手書きによる排泄記録が不要になる。加えて、今後は効率的な排泄日誌の作成に向けて介護記録ソフトとも連携していく予定だ。

現場での使用感や効果を検証するため、社会福祉法人ウェルフェア仙台の特別養護老人ホーム大年寺山ジェロントピアに2022年1月より同システムを先行導入している。導入施設で実施した職員のアンケート結果などから、同社は職員1人あたり平均月22時間の作業時間と精神的負担の軽減効果を確認している。