5月11日から13日まで東京ビッグサイト南展示棟で開催された「NexTech Week【春】」内の「第6回 AI・人工知能EXPO【春】」で、Graphcoreは、AIの機械学習向けアクセラレータであるIPU(Intelligence Processing Unit)に関する製品の展示を行った。

  • Graphcore 展示ブースの様子

    Graphcore 展示ブースの様子

IPUはAIの機械学習の中でも特に画像処理を得意としており、製品の主な導入先として製造業における生産ライン上の外観検査などが想定されるため、今回出展を行ったという。

今回ブース対応を行った、Graphcoreの国内販売代理店であるHPCシステムズの担当者によると、現在AIの機械学習領域で広く用いられるNVIDIAのGPUと比較して、IPUは大きく3つの特徴が挙げられるという。

まず挙げられるのはコストパフォーマンスの高さで、IPUは価格がGPUの約2倍であるものの、IPUが得意とする画像処理においては学習処理能力が3~4倍であるため、高い費用対効果が見込めるとした。

2つ目はシステムの冗長化への貢献である。製造業の生産ラインでは莫大な損失を避けるため、ラインを止めないための対策が重要だ。IPUは複数台を積む形で導入されることが基本となるため、1台が故障した場合も他機によって処理を補うことができ、冗長化されたシステムの構築が可能だという。

3点目として、ニーズに応じた導入数変更の容易さが挙げられる。GPUの場合はホストサーバのメモリをCPUと共有するため、導入台数が増加するごとにメモリを侵食するというボトルネックがあるという。

しかしIPUの場合は個々のアクセラレータ内にメモリを内蔵しているため、台数に比例して処理能力を伸ばすことが可能だという。省電力化も期待できるとのことで、使用電力が限られる中でも秘匿性が高いデータをクラウドではなく社内で管理したい、などの製造現場ならではのニーズに応えることも可能だとした。

  • Graphcoreブースで展示されたIPU

    Graphcoreブースで展示されたIPU

HPCシステムズの担当者は「GPUは汎用性が高いが、画像処理に特化した場合、IPUの性能はとても高い。近年は製造現場において画像処理の比重が高まっているので、GPUしか選択肢がないと考えている場合にはぜひIPUを試していただきたい」と語った。