日本マイクロソフト(マイクロソフト)は4月19日、日本におけるスタートアップ支援の取り組みを紹介するプレス向け説明会をオンラインで開催した。

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同社は、スタートアップを「自社にとっての顧客であるとともに、次世代を共に担うパートナー」と捉えて、2016年からスタートアップを支援するプログラムを提供してきた。国内においても小売業界向けクラウドロボティクスサービス、物流・製造・流通業界におけるロボットソリューション、ブロックチェーン、ドローン、組織パフォーマンスの向上など、さまざまな分野において日本のスタートアップのサービス開発を支援してきている。

  • マイクロソフトがこれまで支援してきた日本のスタートアップの例

説明会に登壇した日本マイクロソフト コーポレートソリューション統括本部 クラウド事業開発本部長の原浩二氏は、「スタートアップの戦略的なテクノロジーパートナーになること、すべてのスタートアップをあらゆる事業フェーズで成功に導くこと、そして、スタートアップの成長をグローバルへ後押ししていくことをビジョンに掲げて、多種多様なサポートを提供してきた」と述べた。

  • 日本マイクロソフト コーポレートソリューション統括本部 クラウド事業開発本部長 原浩二氏

同社のスタートアップ支援では、アイディエ―ション(アイディア化)から開発、グロースなど、事業フェーズに合わせた支援を念頭に置いている。そのうえで、Microsoft Azure(Azure)やMicrosoft 365、Microsoft Dynamics 365といったサービスの提供や技術的なサポートのほか、GithubやLinkedinといったマイクロソフトグループのサービス提供も行い、場合によってはマイクロソフトグループのネットワークを生かして、海外へのサービス展開なども支援してきた。

2022年3月31日には、マーケットの変化やスタートアップからのフィードバックを受けて支援内容を強化した「Microsoft for Startups Founders Hub」(Founders Hub)を、アジア地域向けの新たなスタートアップ支援プログラムとして提供している。

  • 「Microsoft for Startups Founders Hub」は3つの柱でスタートアップを支援

「バックグラウンドを問わず、優れたアイディアを持つ人が誰でも起業家になれるように、スタートアップという選択肢を選べる環境があることが重要と考えている。そのため、当社では『すべての人にイノベーションを』という思想の下、ベンチャーキャピタルからの投資実績の有無に関わらず、起業時からその後まで直面するさまざまな障壁を取り除くべくサポートを実施している」と原氏は語った。

具体的には、環境支援としてAzureのクレジットを1700万円まで利用できる特典を最長4年間提供するほか、アジャイル開発に必要なVisual StudioやGitHub、事業推進に役立つMicrosoft 365やPower Automateなどのライセンスを無料で提供する。

技術支援では、Azureエンジニアによる24時間365日のカスタマーサポートやマイクロソフトのテクニカルスペシャリストによるAzureの技術メンタリングのほか、Azureエンジニアによるハンズオントレーニング「Open Hack」も利用できる。

マイクロソフトの国内外の企業とのネットワークを活用して、エンタープライズ企業とのネットワーキングを行ったり、マイクロソフトと共同でプロモーションを行ったりといった事業支援も実施する。

  • Azureをはじめとしたサービス開発のためのプラットフォームを提供するほか、技術・ビジネス面も支援する

また、AIプラットフォームの提供も行う。マイクロソフトはAIの研究機関であるOpenAIと自己回帰型言語モデル「GPT-3」の独占契約を結んでおり、Azure上で同モデルを活用したAIプラットフォームを利用できる。FoundersHubに加入している企業には、同プラットフォームの1000ドル分のクレジットやOpenAIのAPIのほか、OpenAIのコンサルタントによる無料コンサルティングを提供する。

「先行して米国で提供しているプログラムだが、日本でも提供開始する予定だ。プラットフォームを活用して、サービスのクオリティを上げてもらいたい」と原氏。

イノベーションにより、民間企業による宇宙分野へ進出際の障壁が低くなりつつある中で、今後、マイクロソフトは宇宙関連のスタートアップに向けたサポートの取り組みも増やしていくという。