日本マイクロソフトは11月26日、Microsoft Azure国内展開 戦略発表会を開催。デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた同社の支援策を発表した。

日本マイクロソフト Azure ビジネス本部 業務執行役員本部長 上原正太郎氏は、総務省の「情報通信白書 2021年度版」で、日本ではデジタルトランスフォーメーションに取り組んでいる企業の割合がわずか13%であった点に触れ、「このあたりは日本の喫緊の課題になっている」述べ、AIは47.9%成長(IDC Japan 国内AIシステム 市場予測 2021年-2025年)を予測しているが「まだまだ伸び代がある」と語った。

  • 日本マイクロソフト Azure ビジネス本部 業務執行役員本部長 上原正太郎氏

また、ビッグデータの活用が低い点やITエンジニアがIT企業に多く、ユーザー企業内でかかえている割合が少ない点を日本の課題として挙げた。

「マイクロソフトとしては、いかにお客様の内製化を支援していくか、内製化の波をどうやって作り上げていくか、それを下支えしていく」(上原氏)

  • 日本マイクロソフトが挙げたDX市場の成長と課題

日本マイクロソフト Azure ビジネス本部プロダクトマーケティング部 部長 田中啓之氏は、上原氏が挙げた課題に対する同社の具体的な支援策を説明した。

同市は冒頭、今後は「Find new value on Azure(新たな価値の創出)」というタグラインを用いて、日本のDXを支援するための日本独自のマーケット施策を展開していくとし、「日本ならではのDX推進は、グローバルの戦略をカスタマイズして提供していく必要がある。それを総称してFind new value on Azureというタグラインで展開していく」と説明した。

  • 日本マイクロソフト Azure ビジネス本部プロダクトマーケティング部 部長 田中啓之氏

1つ目の施策としては、FAMA(ファーマ)の受付を同日より開始した。対象は顧客企業やパートナーで、これは、DXへの取り組みのプランをテンプレートに従って提出することで、キービジュアル、Power Point テンプレートなど共通クリエイティブ、Find new value on Azure 特設サイトでの露出、Microsoft Base blog への投稿(エンジニアの露出)、Microsoft Azure 各種支援プログラムの利用相談、Proof of Concept 利用用途での Azure 無償利用環境などが利用できる。

  • FAMA(ファーマ)の受付を開始

また、地域のDX支援拠点として「Microsoft Base」(もともとAzure Baseとして開始)の展開をさらに加速していく。これまでは東京、大阪、佐賀など12カ所に開設し、ハイブリッドワーク/ワーケーション環境の提供、地域のIT関連教育事業、イベント開催や情報の共有などを行ってきた。これまでコロナ禍で閉鎖されていたが、同日から活動を再開。2022年3月までにさらに8拠点を追加するほか、2023年6月を目標に、全47都道府県に拡大するという。

  • 「Microsoft Base」を拡大

データ活用の面では、統合データ基盤であるAzure Synapse Analyticsに注力しており、統合データ ガバナンス ソリューション「Azure Purview」を9月に発表した。そして、2022年3月まで、PoC実施費用を一部無償する取り組みを行っている。

また、2019年からのOpenAIとの協業により、Azure上からOpenAIの言語モデルGPT-3を利用できるAzure OpenAI Serviceを11月2日(米国時間)に発表している。これを利用すると文章の要約、文章の作成、ソースコードの生成の自動化が行えるという。現在、Private Previewが利用可能で、申請を受け付けているという。

なお、同社は2021年12月14日~15日の2日間、オンラインで「Azure AI Days 2021 Winter」を開催する予定だ。

アプリケーション開発領域での支援策については、Visual Studio 2022を先日リリースしているが、田中氏は、「コアになる製品で、GitHubと合わせて展開していく」と語ったほか、日本独自の施策として、Solution Competency Centerを新たな立ち上げたことをアナウンスした。これはマイクロソフトだけでなく、パートナーの知見やノウハウを各ソリューションエリアごと提供する。

  • Solution Competency Center

スタートアップ企業向けの支援では、Microsoft for Startups Founders Hubを開始しているという。ここでは、グローバル規模でもネットワークやコネクションを提供、グローバル社員のメンタリングなど、グローバル進出の大きな足掛かりを支援しているほか、4年間で最大400万円相当のベネフィットを提供するという。

  • Microsoft for Startups Founders Hub

田中氏は「専門知識を持った技術者だけのアプリケーション開発だけでなく、Powerプラットフォームを中心としたローコード、ノーコードでアプリケーションを開発し、データを迅速活用し、次のビジネスにつなげていくことが重要だ」と語った。