体験施設

「ANA Blue Hangar Tour」のキモは、この体験施設であろう。以前は体育館として使われていたスペースをリニューアルした由。そこに、大きく分けると以下のような展示がある。

  • ANAグループで使用している機体の紹介
  • 整備の内容。日常的に実施しているライン整備と、機体を機体工場に入れて実施するドック整備がある
  • 整備に携わる部門ごとの、仕事の内容の紹介。部門ごとにひとつ、体験できるモノが用意されている
  • 実機で使われているパーツなどの展示
  • ライン整備の仕事の内容を紹介するパネル。他の部門もそうだが、動画も用意されている

  • その裏側は、実際にありそうな場面を想定したストーリー仕立て。他の部門にもそれぞれ、同じようにストーリー仕立ての展示パネルがある

  • ドック整備の仕事の内容を紹介するパネル

  • エンジン整備の仕事の内容を紹介するパネル

  • 装備品整備の仕事の内容を紹介するパネル

  • 整備サポート部門の仕事の内容を紹介するパネル。機体の運用中に何回も改訂されるマニュアルの担当もここだ

  • 床面には、空港のスポットにある機種ごとの停止位置表示と同じマーキングが

  • 体験コーナーの一例。これはタイヤの残り溝の深さを検査する工具を実際に使っているところ

中でも、パーツなどの展示は必見だ。実機から外された各種計器や搭載機器はもちろんのこと、航空機の機体構造で使われている、さまざまな素材のサンプルも置かれている。「さすが」と思ったのは、どのサンプルもサイズがそろっていること。これにより、素材ごとの比重の違いを手に取って体感できる。

  • 胴体構造で使用するストリンガー(縦通材)の製作工程を示したもの。その下のほうに並んでいるのが、各種素材のサンプル

  • ハニカム・サンドイッチ・パネルの現物。そうそう見られるものではない

  • 翼端灯やピトー管の現物も展示されている

  • 窓(素材はガラスとは限らない)や、タイヤの断面に関する展示

  • 整備士になるまでと、その後の昇格について紹介するパネル

  • 整備で使用する各種工具の紹介。中には、正式名称だけでなく、社内での通称を併記したものもある。行ってみてのお楽しみだ

  • ネジやボルトやナットは、単に締めれば良いというものではなく。トルクの規定がある。それに関する説明がこれ。このパネルの手前には、実際にレンチを使う体験コーナーもある

  • フライト・データ・レコーダーの現物。俗にブラック・ボックスと呼ばれるが、実際には目立たせるためにこういう色で、黒ではない。ロッキード社の銘板が付いていたから、L-1011トライスターから降ろしたものだろうか?

ツアーの概要

最後に、「ANA Blue Hangar Tour」の概要を。

開催は2022年4月4日以降の平日だが、施設点検などで臨時休館になる場合もある。時間は09:30~11:00と13:30~15:00。COVID-19の感染拡大に配慮する必要もあり、当初は1回につき最大24名、1日2回でスタートする。

予約はネット予約のみで、1カ月前からANAのWebサイトで予約を受け付ける。料金はかからない。受付開始は3月29日の09時30分だ。

  • 機体工場で整備をしていたもう1機の機体が、こちらの767-300ER

  • 体験施設の中央に鎮座しているのは、787の垂直尾翼(実大模型)

著者プロフィール

井上孝司


鉄道・航空といった各種交通機関や軍事分野で、技術分野を中心とする著述活動を展開中のテクニカルライター。
マイクロソフト株式会社を経て1999年春に独立。『戦うコンピュータ(V)3』(潮書房光人社)のように情報通信技術を切口にする展開に加えて、さまざまな分野の記事を手掛ける。マイナビニュースに加えて『軍事研究』『丸』『Jwings』『航空ファン』『世界の艦船』『新幹線EX』などにも寄稿している。