米IC Insightsから世界の半導体工場生産能力調査を引き継いだ半導体市場動向調査会社Knometa Researchによると、2021年末時点で、300mmウェハファブは世界中に153存在しているという。
300mmウェハファブの数は2021年に14増加し、過去最高の2005年の開設数と同数であったとするほか、2022年は10ファブが開設予定、2023年は同13、2024年は同10ファブの開設が計画されており、2026年までに世界の300mmファブは200を超える規模となるとみられるとしている。
300mmウェハのトレンドはロジックファブのみならず、非ICデバイス、特にパワートランジスタ製造でも進んでおり、200mmウェハから300mmウェハ化によるサイズ拡大に伴う費用対効果の向上が図られることとなる。IC Insightsによると、2021年のパワートランジスタの数量需要は、パワーMOSFETで435億個、IGBTで22億個に達したという。また、300mmウェハの恩恵を受けている主なデバイスカテゴリとしては、DRAM、フラッシュメモリ、イメージセンサ、ロジックおよびマイクロコンポーネントIC、PMIC、ベースバンドプロセッサ、オーディオCODEC、ディスプレイドライバなどが挙げられるという。
2022年に稼働を開始する予定の10ファブのうち、2ファブは非IC製品の生産に焦点を合わせたものとなるという。1つは中国の重慶にあるChina Resources Microelectronics(CRMicro)のファブで、もう1つはSilan Microelectronicsが所有する中国の厦門のファブとなる。
また、10ファブのうち3分の1はTSMCによるものであることが注目される点で、その投資の中心は、台南のFab 18キャンパスにおけるフェーズ4ならびにフェーズ5となるほか、28nm CMOSの需要増に対応することを目的とした中国 南京のFab 16サイトのフェーズ2となっている。
このほか、Texas Instruments(TI)とSTMicroelectronics(およびその新しいファブパートナーであるイスラエルTower Semiconductor。Intelが買収を推進中)は、アナログおよびミクスドシグナルIC向け300mmファブの建設を進めている。TIはテキサス州ダラスに「DMOS6」、テキサス州リチャードソンに「RFAB1」という300mmウェハファブを有しており、2022年下期にリチャードソンに「RFAB2」と呼ぶ新ファブが操業する予定としている。RFAB2の稼働により、リチャードソンサイトのウェハ生産能力は従来の2倍以上に向上する見込みだという。
2022年に稼働予定の新300mmファブの残り2ファブはメモリ関連で、1つはSK Hynixの韓国の清州にあるM15ファブのフェーズ2(3D NANDの生産を予定)。もう1つは台Winbondは台湾の高雄の新規DRAMファブとされている。