パナソニック ホールディングス(パナソニックHD)は5月9日、2024年度の年間決算説明会を実施し、同年度に非連結化を行ったパナソニック オートモーティブシステムズ(PAS)を除く実績において、前年度より増収増益となったと発表した。

また併せて、今後のグループ経営改革に関する進捗を楠見雄規代表取締役社長CEOが説明し、グループ内の事業構造改革やグローバル1万人規模での人員適正化に着手することを公表。将来の持続可能な事業成長に向けた改革の取り組みについて明らかにした。

  • パナソニックHDの2024年度決算説明会

    パナソニックHDの2024年度決算説明会に登壇した、同社執行役員 グループCSOの隅田和代氏、同社代表取締役 社長執行役員 グループCEOの楠見雄規氏、同社執行役員 グループCFOの和仁古明氏(左から順)

PASの影響を除くと前年比で増収増益 - 配当は過去最高に

パナソニックHDによると、2024年度の売上高は8兆4582億円でほぼ前年並みの微減収となり、同年度12月から非連結化を実行したPASを除いた売上高(7兆7850億円)では、くらし事業・コネクト・インダストリーの増販により増収(前年比105%)。営業利益は4265億円(前年比118%)、調整後営業利益は4672億円(前年比120%)と、いずれも増益となった。一方で純利益は3662億円(前年比82%)で減益となったが、これは前年に行われた「パナソニック液晶ディスプレイ」の解散に伴う一時益(1213億円)の反動によるもので、その影響を除くと過去最高の純利益となったとする。また年間配当については、前年度から13円増配となる48円で、こちらも過去最高だとしている。

  • 2024年度の連結業績

    2024年度の連結業績(出所:パナソニックHD)

  • 2024年度のセグメント別実績

    2024年度のセグメント別実績(出所:パナソニックHD)

続く2025年度の業績見通しでは、2024年度と同様にPAS非連結化の影響により減収となる見込みだが、PAS抜きではわずかに増収となる見込みだとする。また営業利益は3700億円(前年比87%)、純利益は3100億円(前年比85%)で、グループ全体の構造改革費用として1300億円を織り込むため減益となる見込みであるものの、調整後営業利益については5000億円(前年比107%)への増益となる見込みだとしている。なおこれらの見通しについては、トランプ政権による米国関税影響は未織り込みだとした。

1万人規模の人員削減へ - 楠見CEOは報酬を約40%返上

また2024年度決算および2025年度決算見通しの発表に続き、パナソニックHDの社長およびパナソニックグループCEOを務める楠見雄規氏より、2月4日に発表されたグループ経営改革の進捗について説明された。

  • パナソニックHDの楠見雄規社長

    グループ経営計画について説明する楠見雄規CEO(提供:パナソニックHD)

パナソニックHDのグループ経営改革は、持続可能な企業構造への抜本的な転換に向け、グローバル競争力を有する“ソリューション領域”に注力するとともに、車載用二次電池などの“デバイス領域”、および家庭用電化製品などの“スマートライフ領域”を収益基盤と設定し、持続的な事業成長を目指すもの。固定費の構造改革と各事業会社における収益改善、そして事業ポートフォリオマネジメントの2つを基軸として、2026年度に1500億円以上、2028年度に3000億円以上の収益改善効果を目指し、2028年度にはROEと調整後営業利益率をそれぞれ10%以上とすることを目標に掲げている。

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