ブロックチェーンの出現によって注目を集めているWeb3について識者が語り合うイベント「Web3 Conference Tokyo」が1月28日に開催された。

本稿では、同イベントより、「Web3を語るなら、まずDeFi(Decentralized Finance:分散型金融)を学ぼう」と題して進められたセッションの様子をお届けする。新たな金融の姿として注目されるDeFiとは一体どのようなものだろうか。

Kyber Network Japanの堀次泰介氏は「DeFiはパブリックブロックチェーンの性質を利用した金融の総称であるため、DeFiを理解するにはパブリックブロックチェーンを理解することが重要だ」と述べた。

  • Kyber Network Japan Manager 堀次泰介氏

    Kyber Network Japan Manager 堀次泰介氏

パブリックブロックチェーンが持つ特徴として、同氏は「検閲耐性」「ボーダレス」「中立性」「透明性」「パブリック」の5点を挙げた。「検閲耐性」とは、特定の企業や国家がある人物への入金や送金を禁じるようなことができない性質だ。また、インターネットに接続さえできれば国境や年齢、身分の差や宗教の違いを気にせずに利用できる性質を持つ。これらの性質が、既存の金融の仕組みと異なる点だという。

こうしたパブリックブロックチェーンの性質を利用するため、DeFiは創造と利用が自由であり、効率的かつ透明性のあるフェアな金融が実現できるのではないかと期待される。

  • DeFiのイメージ

堀次氏はDeFiによって人の生活が救われた例として、アルゼンチン在住のエンジニアを紹介した。そのエンジニアは海外の企業にリモートで就業しており、報酬を海外送金で受け取っていたという。その結果、アルゼンチンの法定通貨であるアルゼンチンペソを受け取った場合はインフレーションの影響により債務不履行が起こり、ドルで受け取った場合はドル立ての口座を政府が凍結する出来事が発生していた。そこで、そのエンジニアはステイブルコインとして報酬を受け取ることにし、資産を築けたとのことだ。

「政府による凍結などを回避できるDeFiの特徴が生かされた例である」と同氏は述べて「こうした例は特殊なので想像力を働かせなければいけない。今後Web3やDeFiについて議論する際にはパブリックブロックチェーンのデメリットばかりに目を向けるのではなく、どんな人が救われるのか想像力を働かせて前向きに考えてほしい」と続けた。

また、BlockchainPROseedの絢斗優氏は「フィリピンなどでは銀行口座を持っている人よりもAxie Infinity(ゲーム内で仮想通貨を入手したりNFTのモンスターやアイテムを売買したりできるゲーム)のウォレットを持っている人の方が多いと言われる。銀行口座やクレジットカードを持っていない人でも、ゲーム内通貨をイーサリアムやビットコインに変えて送金できるオンライン経済の中に取り込めた点はDeFiの大きな貢献だろう」と述べた。

  • BlockchainPROseed 絢斗優氏