IDC Japanは1月13日、2022年の国内データエコシステム市場とIoT(モノのインターネット)市場において鍵となる技術や市場トレンドなど主要10項目を発表した。

同社はデータエコシステムを、企業内部のファーストパーティデータを外部のセカンドパーティ/サードパーティ・データと掛け合わせ、新たなビジネスモデル/収益モデルを創出すべく形成するステークホルダーの集合体と定義する。

昨今では、企業が社内外のデータを組み合わせて新たな価値を創出すべくデータエコシステムの形成が加速している。ITベンダーは、データエコシステムを取り巻く法規制の変化、データ流通基盤技術の変化、期待されるソリューション像の変化、ステークホルダー間の関係性の変化、個人/企業の意識の変化など、多様な変化への対応が必要になってきているという。

またIoTの観点においても、ITベンダーは企業の経営層の意識変革や組織変革を目的としたコンサルティングサービスや、新技術を利用したIoTユースケースの浸透に向けた啓発/マーケティング活動を強化することが重要になりつつあるとしている。

こういった変化が加速する中で、同社は国内データエコシステム市場とIoT市場で2022年に起こるイベントを、以下の10項目にまとめた。

  1. 「社内データパイプライン」のプロセス/組織間におけるボトルネック解消に向けサービスの多様化

  2. 「産業横断データパイプライン」を通じたデータ流通の実用化に向け、データ仕様の標準化やデータ価値のリッチ化に向けた取り組みの加速

  3. クッキーレス時代を視野に、顧客エンゲージメント最適化の取り組みと関連事業者間の協業の増加

  4. 信用スコアリングデータ流通や大手金融事業者のDaaS(Data as a Service)化の広がりに伴い「オルタナティブデータ活用」への関心の大きな高まり

  5. 働き方改革や従業員満足度/体験の向上を目的とし、企業間で流通するデータの多様化の加速

  6. 改正個人情報保護法施行を機に、プライバシーテックや情報銀行支援に関わるサービスのさらなる増加

  7. 企業は国内外の規制への対応を前提とした、プライバシー保護の体制やプロセスの整備の不可欠化

  8. COVID-19(新型コロナウイルス感染症)拡大を機に、DX(デジタルトランスフォーメーション)目的のIoTを支援すべく企業の経営層のビジョン/意識変革に向けたコンサルティング/マーケティングに対する関心の高まり

  9. ローカル5G(第5世代移動通信システム)利用の必然性を啓発する活動とベストプラクティスの積極的な公開の、免許保有事業者を中心としたさらなる活発化

  10. 産業別に最適化したIoT組織コンサルティングや、IoTソフトウェア開発の内製化支援の必要性の高まり

同社コミュニケーションズ シニアマーケットアナリストの鳥巣悠太氏は、「2022年4月施行の改正個人情報保護法に対応すべく、企業が収集したパーソナルデータを適切かつ低コストで管理できるようにすることが、あらゆる業界で不可避になる。ITベンダーは、さまざまな機能を企業のニーズに合わせて柔軟に提供すべく、プライバシーテック関連サービスや情報銀行構築支援サービスなどのラインナップの整備が必須である」とコメントしている。