Windows 10に空のフォルダが大量に作られる奇妙な動き

Windows 10には、空のフォルダが大量に作成される奇妙な動きがあることが知られている。少なくとも2019年からこの挙動が観測されている(参考「Topic: ProvTool.exe creating temp folders @ AskWoody)。作成される空フォルダの数はユーザーによって異なっており、数百から数千、またはそれ以上に及ぶこともある。

どの程度の空フォルダが作成されているかは、ファイルエクスプローラで「C:\Windows\System32\config\systemprofile\AppData\Local\」を閲覧することで確認できる。次のスクリーンショットの例では、C:\Windows\System32\config\systemprofile\AppData\Local\に560個ほどの空フォルダが作成されていることを確認できる。

  • C:\Windows\System32\config\systemprofile\AppData\Local\に560個ほどの空フォルダ

    C:\Windows\System32\config\systemprofile\AppData\Local\に560個ほどの空フォルダ

空フォルダは「tw-」という文字列から始まって「.tmp」という文字列で終わる名前になっている。なお、C:\Windows\System32\config\systemprofile\AppData\Local\にアクセスしようとすると、次のようにアクセス権限がないといった表示が行われることがある。この場合は「続行」を押せば閲覧することができる。

  • 「続行」を押してファイルエクスプローラで閲覧を許可

    「続行」を押してファイルエクスプローラで閲覧を許可

ファイルエクスプローラで閲覧できない場合、コマンドプロンプトやWindows PowerShellを管理者権限で起動して、「cd C:\Windows\System32\config\systemprofile\AppData\Local\; dir」といった具合にパスへ移動して一覧表示を行えば空フォルダを確認することができる。

この空フォルダは削除しても大丈夫か?

実のところ。この空フォルダはそれほど害がないと言われている。しかし、知らないうちにシステムに数千も数万も空のフォルダが存在することは気持ちのよいものではない。できればスッキリさせておきたいところだ。

しかし、Microsoftはこの挙動を不具合や脆弱性とは捉えていないようで、本稿執筆時点で、不具合情報や脆弱性情報にはこの挙動に関する説明は行われていない。また、MicrosoftはすでにWindows 11を公開しており、今後Windows 10に積極的な改修が入るかどうかも不透明な状況にある。それほど悪影響はないと考えられていることから、基本的にはこのまま放置しておくというのが現時点での無難な対応ということになる。

この問題を報告したユーザーは、この奇妙な空フォルダを作成するプログラムがプロビジョニングパッケージランタイム処理ツール(ProvTool.exe)だと指摘している。このプロセスが作成する空フォルダは「Windows 10: Flooded with empty TMP directory garbage | Born's Tech and Windows World」の説明では削除しても差し支えないものとされている。しかし、Microsoftが公式に発表している情報ではない点には注意が必要だ。もし、説明に従ってフォルダを削除した場合、悪影響が出ることも考えておかなければならない。

C:\Windows\System32\config\systemprofile\AppData\Local\の空フォルダが数千や数万といった単位になってきた場合、いったんすべてをアーカイブしてから削除するなど、復元できる状況にしておくことが望まれる。Microsoftからは公式にこの挙動に対処する方法は説明されていないので、現状では何もしないことが無難な対応だ。