デジタルガレージ、NEC、レピダムの3社は2月18日、データを暗号化したまま利活用できる秘密計算技術の普及を目的とした会議として「秘密計算研究会」を発足したと発表した。同研究会は、秘密計算の技術研究開発・サービス開発を行う企業や研究機関などの組織と協力して、技術の安全性を客観的に評価するための基準作りや技術の理解促進のための情報発信などに取り組むとしている。

秘密計算とは、高度な暗号理論を用いて、データを暗号化した状態のままで、データベース処理、統計分析、AIによる分析などができる技術。データ保護性が非常に高いクラウドサービスや、複数組織のデータを安全に共有・統合して1つのビッグデータとして利活用できるシステムを実現する技術として、さまざまな分野での活用が期待されているという。

例えば、医療分野では、ゲノムバンクが保有するゲノム情報と医療機関が保有するカルテ情報を安全に統合して分析することで、ゲノムと疾病の関係解明など、医学研究が促進されることが期待されている。金融分野では、複数の金融機関の送金情報を安全に共有することで、不正送金をより高精度に検知することが可能になると考えられているという。

しかし、秘密計算には「秘密分散」をベースとするもの、「準同型暗号」をベースとするものなど、アプローチの異なる多数の方式が存在し、それぞれ独立に研究開発が進められてきている。そのため、方式によらない俯瞰した議論がされておらず、安全性や性能などを一定の基準で比較することはこれまで専門家の間でもされておらず、その結果、ユーザーがさまざまな選択肢の中から適切な方式を選定することが容易ではなく、社会実装の妨げとなっている現状があるとのことだ。

今回3社が発足した「秘密計算研究会」は、上記の課題解決に向け、さまざまな秘密計算方式を俯瞰した実用的かつ客観的な安全性基準や、ユーザーが秘密計算を活用する際の参考となる指針の検討に取り組む。また、ホームページやイベントを通じた、上記基準や指針の検討状況、方式の性能などに関する技術資料や先端事例の情報発信も行っていく方針だ。