SUSSが半導体製造装置工場を台湾で稼働
半導体リソグラフィ関連装置メーカーである独SUSS MicroTecは、台湾で増加する200mmウェハ向け装置の需要に対応するため、台湾新竹サイエンスパークに半導体製造装置工場(4,800平方メートル)を建設、2020年12月より操業を開始したことを発表した。クリーンルームの広さは2,900平方メートルで、主に200mm対応コータ・デベロッパ「ACS200」の生産を行うとしており、台湾や中国などの半導体企業と密接に協業することで、ドイツで製造するよりも納期を短縮できるようになるとしている。
Entegrisも台湾での半導体用流体フィルタ増産を決定
シリコンウェハ自動搬送用収納容器(FOUP、SOFBなど)や純水・薬液・ガスフィルタなどを日本を含む世界11か国で製造している米Entegrisは、台湾に今後3年間で2億ドルを投資し、生産能力を増強すると発表した。
発表によると、2021年初頭に台湾南部の高雄サイエンスパークに新工場の建設を開始し、2021年後半には初期操業を開始する予定だという。新工場の床面積は2万7,000平方メートルで、微小異物汚染防止用の各種フィルターやガス供給システムなどを製造する予定。約6万1700平方メートルの敷地面積があるため、必要に応じて生産能力を拡大することも可能だという。
Entegrisの社長兼最高経営責任者であるBertrand Roy氏によると、この取り組みは台湾を中心としたアジア太平洋地域の主要な半導体メーカーからの需要の増大を反映したものであるとしている。現在、アジア地域全域の生産能力は全世界の約75%ほどを占めると見られている(そのうち約22%が台湾。IC Insights調べ)。
そのため同氏は、「台湾の顧客と緊密に連携して開発サイクルと製品の立ち上げを加速することで、顧客の新たなニーズにさらに対応できるようになる」と述べ、台湾重視の姿勢を見せている。
このほか同社は台湾・新竹の同社の台湾研究開発技術センター(TTC)の拡張を計画。同社のサイエンティストとエンジニアがより密接に顧客と協力することで、半導体メーカーが挑むこととなる複雑な材料と汚染管理の課題に対する革新的なソリューションを提供するとしている。
なお、こうした欧米や日本の半導体製造関連メーカーが各国で工場の新設や製造ラインの増強などを進める動きが近年、急増してきている。背景には地政学的リスクや貿易摩擦の問題などがあるが、2020年を考えると、新型コロナに伴う作業人員の出入国禁止というリスクも露見したことが挙げられ、そうしたリスク回避に向け、政府や大手顧客が海外メーカーに現地での開発・製造を行うことを要請していることがある。現地進出企業側も「顧客と緊密に連携してニーズに素早く対応するほか、製品の立ち上げを加速し納期を短縮しなくてはライバルに負けてしまう」と口をそろえている。
日本の製造装置・材料メーカーも同様で、台湾や韓国の大手顧客の近くに開発拠点やサービスセンター、工場などを設置し、顧客の要望に対応できる体制構築を急速に進めており、一部の半導体業界関係者からは、日本国内におけるものづくり産業の空洞化を危ぶむ声もでるようになっている。