Appleが5G向け通信チップの自社開発を進めており、台湾のGaAsファウンドリ大手Win Semiconductor(穏懋半導体)に生産委託を行う可能性があると、台湾の経済メディア「經濟日報」が12月14日付で報じている。
Win Semiconductorsは2020年10月に、台湾南部の南部科学園区高雄園区に850億NTドルを投じて新工場を建設することを発表。2021年より3年かけて、現在の月産4万枚ほどの生産能力を3倍以上に拡大し、最終的には月産15万枚規模を目指す計画を打ち立てている。この新工場の大口顧客はAppleとみられており、大口顧客との何らかの事前契約なくこのような巨大な工場建設は考えられないと台湾半導体関係者は見ているという。
Appleは現在、BroadcomやQorvoなどから通信チップを調達しており、これを自社開発製品に切り替えるのであれば、iPhone向けAプロセッサシリーズ、Mac向けMプロセッサシリーズに続く重要部品を自前で用意することとなる。こうした主要部品を次々と自社開発に切り替えている背景には、基幹部品で主導権を握ることによる他社との差別化、ユーザーエクスペリエンスの向上、コストダウンを実現する、といった思惑があるものと業界関係者は見ている。5G対応スマートフォンの場合、1台あたりに搭載される通信で用いられるパワーアンプの数は16個以上と言われており、さらなる高速通信が求められるようになる今後、その需要な増加の一途をたどると見られていることも、自社開発を後押しする要因となっているとみられる。
なお、AppleとWin Semiconductorsは、この件に関する発表を12月15日時点では一切行っていない。