半導体市場動向調査会社である米IC Insightsは、2020年における専業ファウンドリ(Samsung ElectronocsなどのIDMが併設するファウンドリを除く)の各国・地域ごとの動向調査結果を発表した。
それによると、中国の顧客からの売り上げが全体に占める割合は22%となる見通しで、2010年の5%から10年で一気にその存在感を高めてきたことが見えてきたという。また、地域別シェアの変遷としても中国は、2018年に18%に到達して以降、2019年に米中貿易戦争によって、中国の経済成長が鈍化したにも関わらず21%まで拡大、そして2020年は新型コロナによる経済の停滞が一時的にでもあったにも関わらず、22%へと到達する見通しだという。
最大市場は米国のまま
一方、最大シェア地域は米国であることに変わりはない。Apple、Broadcom、Qualcomm、NVIDIA、AMDはじめ多数の大手ファブレスがいるためである。しかし、そのシェアは中国の台頭により、徐々に減少しており、2010年には60%であったものが、2020年には52%まで下がる見込みとなっている。
また、IDMの風土が根強い日本の2020年のシェアは5%となる見通し。2010年はシェア3%であったから成長ではあるが、統計中、もっとも最小シェアの国・地域と位置付けられており、当面、そのポジションは変わらないとみられている。
高い成長率が続く中国
中国ではファブレスが次々と生まれており、ファウンドリに対するニーズが高まりを見せている。それは専業ファウンドリの中国市場での売上高の伸びにも表れている。2019年の同市場規模は前年比10%増の118億ドル、2019年の専業ファウンドリ市場全体の売上高が同1%減という状況の中でもプラス2桁の成長である。
2020年も同26%増と予想されており、専業ファウンドリ市場全体の同19%増という予測よりも高い。こうした中国市場からの高い需要の恩恵を受けている1社がUMCで、同社の2019年の中国市場における売上高は同19%増と、専業ファウンドリの中でもっとも高い伸びを示した。これは2016年に稼働させた中国 厦門のFab 12Xの継続的な拡張によるもので、現在、Fab12Xの生産能力は月産1万8700枚(300mmウェハ)に到達しており、2021年半ばには月産2万5000枚規模となる計画である。
ただし、中国市場トップシェアはやはりTSMCである。同社の売上高に占める中国の割合は2016年は9%であったものが、2019年には20%にまで上昇。2020年も同30%増の伸びが予想されているが、Huawei子会社のHiSiliconへの7nmアプリケーションプロセッサの販売が伸びた結果であり、米国商務省の通達により9月中旬以降、Huawei/HiSiliconへ販売できなくなったことを考えると、ほかの中国企業から同程度の売り上げを確保できるか、というところは不明である。とはいえ、TSMC全体としては、Appleをはじめとする米国大手ファブレスからの先端プロセスを活用した製造委託が殺到する状況にあり、長期的に見れば、売上高そのものの成長は続いていくとみられている。