OKIと中央大学は8月20日、AI・データサイエンスに関連する共同研究について包括連携する基本協定書を締結した。協定に基づく初の活動として、中央大学が産官学連携の拠点を置く後楽園キャンパス(東京都文京区)に「AI・データサイエンス社会実装ラボ」を開設する。
ラボでは、AI・データサイエンスに関する最先端の知識と優秀な教授陣を持つ中央大学と、社会インフラにおける現場の実課題やデータを持つOKIの産学連携により、AIの社会実装を実現できる実践力を持ったAI人財の育成に取り組む。なお、ラボは中央大学が2020年4月に設立した「AI・データサイエンスセンター」に設置するラボの第一号となる。
近年、5G/IoT本格普及に向けて、AI・データサイエンスを活用したさまざまな社会課題解決への期待が高まっており、同分野の技術が急速に進歩しているが、実際に課題を抱えている現場(例えば生産工場のラインなど)への実装には至らないケースが少なくないという。
大学などの学術的なAI研究では、先進の知見を有するものの現場の課題を直接目にする機会が少ない一方で、現場の課題を熟知する企業の技術者は、AIを活用するための知識が必ずしも十分ではない同社は指摘。こうした状況を踏まえ、学術的研究の場である中央大学にオープンイノベーションの拠点として同社のラボを設置することで、双方の知識(形式知)と経験(暗黙知)を融合し、AIの社会実装とAI人財の育成を加速するためのプログラムを構築する。
ラボは現場の実課題と実データを同社が持ち込み、同大との混成チームで解決を目指す。こうした取り組みにより、社会実装までの実践力を備えたAI人財を戦略的に育成する。初年度はスマート工場実現のため諸課題を解決しつつ、AIの汎化性能向上や少データによる学習に取り組むなど、複数のプロジェクトの実施を計画している。
2020年度のプロジェクト計画は、画像解析・振動解析等を含むリアルタイムインテリジェンスに関わる諸技術の高度化、工場の効率化を題材としたAIの社会実装における諸課題(汎化性能の向上、少データからの学習等)に対応するための研究開発、シミュレーション・最適化など社会課題解決のために必要とされる技術の研究開発を行う。