パワートランジスタ市場は2017年から2019年にかけて3年連続で過去最高の売上高を達成してきたが、2020年は新型コロナウイルスの世界的感染拡大の影響から前年比7%減となること、ならびに2021年以降は、2021年が同7%増の169億ドル、2022年には同6%増の177億ドルとなり、過去最高値を記録した2019年の171億ドルを超すとの予測を米IC Insightsが発表した。

2021年のパワートランジスタ市場をけん引するのはミリ波(mmWave)を含む新しい伝送周波数帯域を使用する第5世代(5G)セルラーネットワークの構築で必要とされる高周波およびマイクロ波パワートランジスタの成長だという。5Gのインフラ整備はその後も続くことから、RF/マイクロ波デバイスは、少なくとも2024年までパワートランジスタ市場の成長をリードするとIC Insightsでは予測しており、2019年から2024年のCAGRが1.7%と緩やかに成長していき、2024年には186億ドルと過去最高を更新するとの見方を示している。

ただし、このCAGRは2014年~2019年のCAGR5.3%と比べて大きく落ち込んでいるが、これは新型コロナウイルスのパンデミックの影響を受けた2020年の低迷が背景にあるとしている。

なお、IC Insightsでは、2021年のパワートランジスタ市場を製品カテゴリ別で見た場合、以下のような予測を示しており、バッテリー駆動製品、モバイル機器、電気自動車/ハイブリッド車といった最終製品の拡大によりパワーFETならびにIGBT製品の成長は今後も続いていくことが期待されるとしている。

  • RF/マイクロ波製品:前年比9%増の13億ドル
  • 絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)モジュール:前年比7%増の41億ドル
  • 低電圧(40V未満の電界効果トランジスタ):前年比8%増の37億ドル
  • IGBTディスクリートトランジスタ:前年比7%増の16億ドル(過去最高)
  • バイポーラ電源モジュール:前年比8%増の5400万ドル
  • パワートランジスタ

    パワートランジスタの各製品カテゴリごとの2019年の市場シェア(縦軸)と2019-2024年の5年間の年平均成長率(横軸)。RF/マイクロ波には単体でバイスのほかモジュールを含む (出所:IC Insights)