ガソリン車の禁止で進むハイブリッドカーへの移行

みなさんの愛用の自動車が古くなり、新車に買い替える際に検討するのは、別のガソリンエンジン車か、完全電気自動車(EV)、それともその中間の車でしょうか。フルハイブリッドカー(FHEV)、プラグインハイブリッドカー(PHEV)、マイルドハイブリッドカー(MHEV)など、さまざまなハイブリッド車が販売されており、選択肢は数多くあります。多数の中からお気に入りのカフェラテを選ぶようなものかもしれません。

自動車のエンジンは、ガソリンエンジンに始まり、電気モーターにまで発展を遂げています。この劇的な移行の背景となった要因は、厳格化の一途をたどる燃料排出ガス規制に適合する必要があるからです。現在、ガソリンエンジンでは電気モーターの助けをかりてアイドリングストップおよび回生ブレーキを実現していますが、こうした形態は最終的には消えていきます。20年後には、自動車は完全に電動になると予想されます。

2040年頃には、ガソリン車の完全禁止が見込まれます。この移行に伴う有力候補は、48Vマイルドハイブリッド電気自動車(MHEV)です。MHEVは、旧式のガソリンエンジンが比較的低コストで排ガス規制を満たす上で有効です(図1)。

本稿では、MHEVのアーキテクチャを検討し、ロードダンプによる高入力電圧過渡状態に耐え、低EMI、低デューティサイクルおよび高効率で動作しつつ48Vバッテリで機能するバックコンバータを提案します。

  • マイルドハイブリッドカー

    図1. ガソリン燃料の排ガス規制への適合が困難になる中、MEHVは有力な選択肢となっている

48V補助システムを考える

MHEVのベルト型スタータジェネレータ(BSG)は、従来のオルタネータとスタータモーターの代わりに、パワートレインをサポートする単一の部品を使用することによって、より高い効率を実現します(図2)。

  • マイルドハイブリッドカー

    図2. 48V MHEVシステム

制動時には、エネルギーは燃焼エンジンから48Vバッテリへと流れます。エンジンはBSGにトルクを印加し、BSGはそれを受けて発電機として機能します。BSGが生成する電気波形は、IGBTまたはMOSFETの固有ダイオードを通じて3相インバータによって整流され、48Vバッテリを充電するDC電流を生み出します。

スタート/ストップ時には、エネルギーは48VバッテリからBSGへと流れ、BSGはモーターとして機能します。この段階では、BSGは48Vバッテリから3相インバータパワートランジスタを経由して給電されます。DC-DCコンバータが、48Vを16Vに降圧して3相インバータゲートドライバに給電し、BSGに適切なモーションシーケンスが提供されます。

BSGは、スタート/ストップ時にはエンジンを始動させ、トルクを増強して加速性能を向上させ、制動時にはバッテリを充電します。また、48Vバッテリは、ファン、ポンプ、電動パワーステアリングラック、コンプレッサのような補機部品に給電し、スタート/ストップシステムを支援することもできます。48Vバッテリは、1/4の電流で12Vバッテリと同じ電力を供給し、自動車の電気配線の損失、サイズ、および重量を低減することができます。