韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、日本の対韓輸出管理強化から1年を迎えた7月9日、ソウル近郊の京畿道利川(イチョン)にあるSK Hynixの本社工場で開催された「素材・部品・装備(装置と設備を指す)産業懇談会」に出席し、「素材・部品・装備産業で世界を先導し、グローバルな"先端素材・部品・装備強国"に飛躍させる」と述べ、 従来からの戦略を確認しさらに前進させた「素材・部品・装備2.0戦略」を発表した。
韓国政府通商産業資源部(日本の経済産業省に相当)によると、戦略の骨子は、「素材‧ 部品‧ 装備育成政策対象を日本の対韓輸出規制対象品を中心とした100品目から次世代の技術を含む338+α品目まで政策の管理対象を拡大し、2022年までに、これらの分野の技術開発に5兆ウォン以上を投資する」というもの。
338+α品目は、具体的には半導体など先端型158品目と自動車、電子電気など汎用型180品目、そこにディスプレイ、2次電池、ロボットなどが+α対象品として追加される模様だ。
5兆ウォンの投資のうち、半導体、未来自動車(自動運転車やEV)、バイオの3大産業に2兆ウォン規模の投資を行うとする。また、2020年下半期に素材・部品・装備ベンチャーファンドを1100億ウォン規模で立ち上げ、市場を先導する企業に対し重点的に投資を行うほか、800億ウォン規模の次世代産業技術政策ファンドも立ち上げるとする。さらに、韓国政府として、先端産業の誘致と海外進出韓国企業のUターンに必要な補助金やインフラ構築にも今後5年間で1兆5000億ウォン規模の資金を投入することも決定したという。
なお、ここで語られる国産化とは、日本企業を含む海外企業の誘致による現地生産も含んでいる。そのため、すでに多数の日本企業や米国企業(Lam Research、DuPont、MEMCなど)がさまざまなインセンティブを得る形で韓国へと進出している。