国際半導体製造装置材料協会(SEMI)は4月14日(米国時間)、2020年下半期のシリコンウェハ市場規模に関し2つのシナリオを公開した。

1つは半導体業界への新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を巡る不確実性が続くことにより販売額が減少するという悲観的シナリオ、もう1つは半導体売り上げの回復の勢いに乗って上昇するという楽観的なシナリオである。SEMIは、4月14日時点ではいずれの可能性も考えられるとしている。

SEMI内部では現在、世界各国で新型コロナウイルスとの闘いが続く中、2020年下半期はシリコンウェハの販売額が減少し、2021年の価格交渉にも影響する可能性があるという悲観的シナリオに沿って具体的な予測を立てているというが、この新型コロナウイルスの感染拡大がいつまで続くのかという不確実性がシリコンウェハの需要減少につながるのか、それとも影響は数カ月程度で収まるのかという疑問は残るともしている。

また、リスクを分散させ、2020年第2四半期のウェハ販売額への影響を和らげる手段として、半導体メーカー各社はシリコンウェハの発注を増やし、今後の需要に対応するために安全なレベルまで在庫の確保に努めるとSEMIは予測している。

もし、新型コロナウイルスの影響により半導体の需要が2020年下半期に大きく落ち込む場合、シリコンウェハの出荷面積は第2四半期までは増加し続けるものの、第3四半期には減少に転じる可能性がある。この悲観的シナリオでは、2020年の300mmシリコンウェハ出荷面積は第2四半期に増加したとしても、通年では横ばいまたはわずかな減少となり、200mmと150mmの出荷面積はそれぞれ5%と13%減少すると考えられるという。

一方、2020年下半期に新型コロナウイルスの影響が収まり世界経済の回復が始まれば、第2四半期の在庫増加がシリコンウェハ出荷面積の増加にもつながることが期待されるという。消費者が控えていた購入意欲が半導体業界の回復を後押しするという期待の高まりにより、この上昇傾向は2020年の年末まで続く可能性があるとしている。

2020年は年初より新型コロナウイルスの感染が世界に拡大していったこともあり、シリコンウェハの出荷面積の総計は2018年10月をピークに減少が続いている。2017年から2019年にかけて出荷面積は0.4%増となっているが、2019年の総出荷面積は前年比6.9%減となり、販売額も減少している。2020年の動向としては、在庫水準の正常化や5G市場、データセンター市場の成長などへの期待から楽観な予測がされていた。しかし、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、そのような従前の予測に修正が迫られる結果となる一方、不透明さが増しているため、SEMIではこれまでのような1つだけのシナリオでは予測を立てられないとして2つのシナリオを今回提示することにしたと説明している。