議論を終えて

結論と言えるのか難しいところもあるが、AI人材として求められるのは、決して数学的能力ではなく、より人間的な魅力とも言える方向性に話が進んでいったのは予想外とも言えたが、よくよく考えてみれば、何度も話題に上がってきたように、何かの課題を解決するために、AIが使えるのではないか、ということが前提となるのであれば、その問題に寄り添うための力が求められることは確かな話であると言える。

また、上田氏が語っていた研究者が常に考え続けているといった言葉に思い当たる節がある。京セラが2019年7月に開催した「みなとみらいリサーチセンターオープニングイベント パネルディスカッション 異種格闘技戦'19」(第1部第2部)の中の1シーンだ。参加者からの質問の1つに「新しい発想ができるのはどんなときか」というものがあり、それに対する答えは(ここのパネルディスカッションに参加されたパネラーの方々は、今回の4名の参加者に負けず劣らずすごい面々であった。上田氏の発言にも出てきたカーネギーメロン大学の金出武雄 ワイタカー冠全学教授、ソニーコンピュータサイエンス研究所社長の北野宏明氏、カリフォルニア工科大学の下條信輔 教授、東北大学大学院情報科学研究科 応用情報科学専攻の大関真之 准教授、東京大学 先端科学技術研究センターの稲見昌彦 教授、映画監督として知られ、ILCの日本誘致に向けた活動を支援するサポーターとして初期から参加していることなどでも知られる押井守氏)、何日も毎日考え続けた時であったり、ひたすら考えているときに、ふとリラックスした瞬間に出てくるといった意見が多くだされ、ずっと考える必要性が強調されており、そうした意味では、一般的な休みの感覚を、そういう人たちに当てはめてしまうのは、確かにむしろ新しい成果を生み出す足かせにだってなる可能性があり、本当に国がAI人材を育成し、人間中心のSociety5.0で日本を守り立てていこう、という意思があるのであれば、少なくとも、それぞれの職種に応じた対応などを検討していく必要があるのではないかと思われる。

  • AI人材

    2019年7月26日に京セラが開催した「みなとみらいリサーチセンターオープニングイベント パネルディスカッション 異種格闘技戦'19」の様子。実際の模様はYoutubeの京セラ公式アカウントにて公開されているので、興味を持った人は視聴してみることをお勧めする

また、こうした成果を得るためのロジカルにものごとを考える、ということは、誰かと齟齬無くコミュニケーションをとる際にも、必要となってくるものであり、そういう意味では、コミュニケーション能力を磨くための第一歩ともいえるだろう。

どうやら、これからのAI時代とは、より人間としてどう生きるか、そのものが問われる時代と言えそうである。