民生品に求められるイメージセンサの能力

民生市場は、おそらく最も多様性に富み、アプリケーション数も多い市場です。成長の原動力となっているのは、ハイエンドセキュリティカメラ、スキャン、ドローン、仮想現実、拡張現実などのアプリケーションであり、言うまでもなくIoTという包括的な用語の下で使用されています。

  • CMOSイメージセンサ

    裏面照射(BSI)型ローリングシャッタ方式により、小型ながら高いフレームレートを実現した小型機器などに向けたデジタル・イメージセンサ

自動車の場合と同様に、いかに速く簡単に効果的な解決策を開発し導入するかを決定付ける基本となるのがエコシステムによる開発であり、現在も、そして今後もそうであると考えられます。オン・セミコンダクターでもパートナー企業と協力して、レンズ、カメラモジュール、IRCフィルタ、カメラモジュールなどの製品と自社のイメージセンサーを組み合わせ、エンドユーザーに総合的な統合ソリューションを提供するべく取り組みを進めています。

ビジョンセンサベースのセキュリティ機器は、民生分野の中でもっとも大きなセクターの1つであり、一部は産業分野にも進出しています。民生分野では、依然として中国が最大のユーザーであり、安全な都市、商業ビル、家庭といったコンセプトの実現が主な推進力となっています。要求されるのは、昼夜のパフォーマンス、高いダイナミックレンジ、フレームレート、および解像度の性能限界を押し上げるセンサーです。これらはすべて、コンパクトなフォームファクタ内で達成する必要があります。成長トレンドとしては、サイバーセキュリティやディープラーニングおよびビデオコンテンツ分析のサポート機能の導入などが挙げられます。

産業分野で活用されるイメージセンサへの要求項目

産業用アプリケーションの自動化および稼動数の増加と厳しい性能要件のため、この市場に対応するイメージングソリューションは以前よりも注目されています。ファクトリーオートメーション(FA)やインダストリアルIoT(IIoT:産業分野におけるIoT)、そして高度道路交通システムの迅速な展開をより高度なレベルでサポートするマシンビジョンなどが、まったく異なる領域ながら現在需要を生み出している主なのアプリケーション例です。

オン・セミコンダクターのX-Class Platformは、幅広い産業用アプリケーションの要求を満足させること、ならびに初期段階からの迅速かつシンプルな設計の実現を念頭に、複数の解像度とピクセルに対応するスケーラブルな単一デバイスの提供に向けて開発されました。

最初のイタレーションである3.2μmグローバルシャッターピクセル(従来の4.8μmおよび4.5μmピクセルよりも小型化)は、全体的なイメージング性能を改善しながら、同じ光学フォーマットでより高い解像度を提供します。

  • CMOSイメージセンサ

    最新のマシンビジョンや検査アプリケーションに必要となるイメージング性能を提供するCMOSイメージセンサ

グローバルシャッターは、モーションアーティファクトなしで移動オブジェクトをキャプチャする機能もサポートしています。この機能は産業分野で一般的に必要とされる機能です。

産業分野では、他の分野と同様、システムソリューションの設計と有効性をさらに高めるために、センサー性能と一般的なコンピュータインタフェース性能の整合を図ることが重要です。最初の2つのX-Classプラットフォームデバイスは、高速ビデオキャプチャフレームレート(XGS 8000)に対応し、また10GigEインタフェースを利用でき、USB 3.0(それぞれXGS 12000の高速版と低速版)にも対応することで、これを達成しています。

プラットフォームベースで開発する時代が到来

自動車、消費者、および産業市場においてイメージセンシングの課題を克服するための鍵は、さまざまなエンドアプリケーションのニーズに的確に応え、それに適応できる仕様と性能を備えた幅広いデバイスを提供することです。加えて、プラットフォームベースのソリューションであれば、スケーラビリティを容易に実現すると同時に、デザインパスの簡素化が図れ、開発を加速することができるといえます。

著者プロフィール

Sammy Yi
Vice President, China Business Development and Worldwide Regional Marketing, Image Sensor Group
ON Semiconductor