FRONTEOは12月2日、同社のヘルスケアビジネス本部と武田薬品工業、岩手医科大学と共同でAIやゲノム(遺伝子情報)を用いて、パーキンソン病の診断や治療の共同研究を開始したと発表した。

パーキンソン病は脳の異常により、体の動きに障害があらわれる病気。震えが出る、手足が動かしにくくなる、動きが遅くなるなどさまざまな症状があり、人によって患者タイプが異なることから、ベテランの専門医は最初に診察した時、患者の発言や様子から今後の病状のパターンが分かるとも言われているが、従来は専門医の知見を共有したり、病状を数値化したりすることが難しかったという。

今回の共同研究は、患者1人1人の症状に合わせた投薬や治療を実現することを目的とし、AIによる自然言語処理を通じて、電子カルテなどに記録されている情報を解析するほか、患者ごとのゲノムなどと掛け合わせることで、症状の分類や治療の有効性などを検証していく。研究期間は2年間で成果を見つつ、実際の診断や治療に適用する実用化の可能性を探っていくという。

共同研究における各者の役割として岩手医科大学がパーキンソン病に関する臨床情報試料の収集と提供(患者の個人情報は加工を行う)を、武田薬品がゲノム情報の前処理および解析、サブグループ相関解析などにより、患者タイプと症状の出方などの特定を、FRONTEOが問診での患者の行動や発言の記録、医師や看護師の所見や指示などの自然文を解析し、患者タイプと症状の出方などの特定をそれぞれ担う。

FRONTEOは、ヘルスケア業界向けに独自開発した「客観性」「透明性」「再現性」を特徴として備えるAIエンジン「Concept Encoder(コンセプトエンコーダー)」を用いた解析で、パーキンソン病の診断に関わる重要な基礎情報を明らかにすることにより、きめ細かな分類や情報の取得を行い、研究を推進していく。

また、パーキンソン病は未治療の状態から適切な投薬を行うことで、症状が改善したり、進行を遅らせたりすることができると言われており、武田薬品のゲノム情報を元にした解析結果をともに活用する道筋を作ることで、より早く、適切な投薬や治療を行い、各患者に合わせた個別化医療を実現し、アンメット・メディカル・ニーズ(有効な治療法がない)とされるパーキンソン病の改善に寄与していく方針だ。