日本マイクロソフトは4月19日、3月26日(米国時間)発表されたハイパーコンバージドインフラ(HCI)である「Azure Stack HCI」に関する説明会を開催した。

同製品はx86サーバにWindows Server 2019 DatacenterエディションとWindows Admin Centerをインストールしたアプライアンス製品。DELL EMC、日立製作所、HPEがリリース済で、今後、富士通、レノボ、NECからも提供される予定。

同社はWindows Server 2016からHCIに取り組んでいるが、2016では、Windows Server Software Defined(WSSD)というプログラムで、パートナー企業が自社のハードウェアにHCI機能を実装し、検証済製品として提供していた。

Windows Server 2019では、さらにHCIの機能を強化。クラウド&エンタープライズビジネス本部 プロダクトマネージャー 佐藤壮一氏は、「Windows Server 2019では、HCIへの投資が一番大きく、Windows Server 2019の新機能はHCIとそれをハイブリッドに管理するようにする機能に集中している。ただ、Windows Serverの1つの機能で提供するのはふさわしくなく、Azureファミリーの1つの製品として登場してきたのがAzure Stack HCIで、WSSDをリブランディングしたものだ」と説明した。

  • Windows Server 2019でのHCIの強化ポイント

日本マイクロソフト クラウド&エンタープライズビジネス本部 プロダクトマネージャー 佐藤壮一氏

Azure、Azure Stack、Azure Stack HCIの違いについて佐藤氏は、「Azureは、使いたいときにすぐに使えて、いらないときにすぐにクローズできるというDevOpsのようなスタイルで新規ビジネスを開発できるクラウドサービス。これが進んでいけば、オンプレミス側でもそういう使い方をしたいというニーズが出てくる。また、GDPRのようにデータを置く場所に関する規制やデータが大量発生するものをエッジ側で管理したいというニーズに対応するのがAzure Stack。Azure Stack HCIは、Azure Stackの下で動くSDS(Software Defined Storage)で構成されているHCIで、Azure Stackとの違いは、Azureサービスがそのまま動作するわけではないという点。HCIなので、Hyper-VやSQL Databaseが動作するもの。Windows Server上の基本コンポーネントとしてHCIの機能を開発してきた仮想基盤で、そのため、これまでのオンプレミスのレガシーアプリやIoTのエッジ側製品に対応できるのがAzure Stack HCIだ」と解説した。

  • Azure、Azure Stack、Azure Stack HCIの違い

同氏はAzure Stack HCIの用途として、オンプレミス側のWindows Server 2012や2016の老朽化したハードウェアの更新、オンプレミスサーバインフラの統合、クラウド管理機能への接続を挙げた。

  • Azure Stack HCIの用途

Azure Stack HCIはAzureファミリーのためAzureとの連動性を強く意識しており、Azure Site Recovery、Azure Backup、Azure Monitor、Azure Automationなどと密に統合できるように設計されている。

佐藤氏は他社のHCIに対するメリットとして、HCIと仮想化ライセンスがWindows Server Datacenterエディションのライセンスに含まれているため、コスト削減が行える点、最新のハードウェアに対応している点、Windows Admin Centerで一貫性をもって管理でき、Azureとの連携設定も行える管理面を挙げた。

  • Azure Stack HCIのライセンスの優位点

佐藤氏はAzureとの連携について、「Azure Stackは、オンプレミスでクラウドと同じものが利用できるように提供したものだが、もう一方のアプローチとして、オンプレミス側からクラウドに接続して、オンプミスとクラウドのそれぞれの良さを活かしていくアプローチがある。そのためにAzure Stack HCIを追加している」と説明。

  • ハイブリッドクラウドへのアプローチ

日本マイクロソフト 業務執行役員 クラウド&エンタープライズ本部 本部長 浅野智氏

これに関して、日本マイクロソフト 業務執行役員 クラウド&エンタープライズ本部 本部長 浅野智氏は、「今後、企業が生き残っていくためには、データを収集し、それをうまくマネタイズして、新しいビジネスに変革していかないと勝っていけない。自動運転の自動車からは毎日1台あたり10TBのデータが収集される。これらのデータをクラウドに全部持っていくのはナンセンスだ。ただ、ビジネスで勝つためにはクラウドのデータ計算能力を利用しなければならない。現場のデータとクラウドをどうミックスしてデジタルトランスフォーメーションを推し進められるかだが、それにはハイブリッドクラウドしかない。ハイブリッドクラウドを利用するのであれば、オンプレミスで動いているすべての製品をクラウド側で動作させ、まったく同じエクスペリエンスを提供できるようにすることが重要だ。両者を行ったり来たりできる環境を提供していくのが、マイクロソフトのステラテジーだ」と語った。