凸版印刷は3月1日、高品質4K映像を利用する超臨場感環境ソリューションである「Natural Window (ナチュラルウィンドウ)」を開発し、従業員のストレスケアに取り組む企業向けに2017年3月から本格的な提供を開始すると発表した。

参考価格は、ハードウェアが1窓あたり約50万円から、コンテンツのリース費用が1ヵ所あたり年間15万円から。2017年度に、関連受注も含め約10億円の売上を目指す。

天窓タイプと壁窓タイプを設置した休憩スペース及び、壁窓タイプの4K映像

新ソリューションは、同社が特殊な方法で撮影した高品質4K映像コンテンツを利用し、窓を設置できない閉鎖的空間でも窓からの眺めを体感できるというもの。具体的には、窓枠を付けた4Kデジタル・サイネージを設置し、自然空間を感じることができる景色などの高品質4K映像を表示する。

4Kデジタル・サイネージの壁窓タイプと、木目ルーバーである「フォルティナ」と高精細コルトンを利用する天窓タイプの2種類を用意。同社は、これらを組み合わせるなど空間デザインの設計・コンサルティングから機器の設置・施工、コンテンツ供給まで、高品質映像を活用したストレスケア対策のトータル・サポート・サービスとして提供するという。

リフレッシュ効果については、本物の景色を眺めているように休息する空間を再現しており、心拍変動解析などによる効果検証の結果、ただ休息する場合と比べて迅速にストレスを軽減させる効果があることを確認できたという。

映像コンテンツは、高解像スチール撮影用レンズや大型撮像素子などの高品質4K機材による特殊な手法で制作したとのこと。本物の景色を見ているかのような臨場感を伝えられるとしている。

コンテンツ群と設計・仕様については、よりリアルな自然空間を再現するための再生プログラム構築などにより、時間帯や季節との連動を可能にする充実したコンテンツ群を提供するという。また、自然光とほぼ同等の環境照度や色温度を再現することで、自然空間をよりリアルに演出できるとのこと。

同社はストレスケア対策の一環として、窓を設置できないオフィスや工場の休憩スペースにおける同ソリューションの利用を目指すとしている。

ストレス負荷課題実施とNatural Window前で生体反応を計測する様子

同社は同ソリューションによるストレス軽減効果を検証するため、脳科学・認知神経科学の知見に基づくマーケティング・コンサルティング・サービスを提供しているというセンタンと連携し、生体反応計測を実施した。この計測結果より、文京学院大学人間学部心理学科の長野祐一郎助教の監修の下、同ソリューションには迅速にストレスを軽減させる効果があることを確認できたとしている。

被験者の心拍数の計測結果

被験者の脳波(アルファ波)の計測結果

同検証では、被験者がストレス負荷のかかる課題を実施した後、同ソリューション/紙ポスター/何もない無地壁の各環境下で休憩。ストレス課題実施前から休憩終了後まで被験者の生体反応を計測し、ストレス軽減効果を比較したという。

心拍と脳波(シータ波)の結果から、無地壁条件と比較し明らかに瞬時にリラックス状態へ導く効用があり、脳波(アルファ波)の結果から、リラックスしながらも単にボンヤリしている状態ではなく、頭が冴えた状態でリラックスしている、いわゆる「アイドリング状態」へ導く可能性が高いことが示唆されたとのこと。

さらに、主観評価(アンケート)の結果、被験者がこのような状態を自覚しておらず、無意識下で心身に変化が起きていることが判明したとしている。