富士通は、IEEE 802.15.6規格準拠のメディカル・ボディ・エリア・ネットワーク(medical Body Area Network:eBAM、ワイヤレス人体通信網)の施策無線機を開発し、富士通クリニックにおいて医療専用周波数帯(400MHz帯)で用いた国内初となる実証実験を2013年2月に行った。

mBANは、医療用に特化したIEEE通信規格で、電波出力を低減させて通信可能エリアを3~5メートルに限定。スリープモードなどを活用した低消費電力性の高いプロトコルとして構成されている。400MHz以外にも、汎用的な2.4GHz帯のほか、各国の医療専用周波数帯に対応できる。

一般的な病院では、入院患者の心電、脳波、血圧、体温などのバイタルチェックを、有線接続された機器での計測や目視によるカルテへの記入によって行なってきた。mBANを用いれば、各種センサーから無線通信で機器に情報を送ることができるようになり、患者や看護師などの負担軽減、予期せぬケーブルの断線やカルテへの記載ミスなどの回避を実現し、患者のQoL(Quality of Life)や医療の質の向上を図れるという。

なお、今回の実証実験は、富士通が総務省から受託した「400MHz帯医療用テレメーターの周波数高度利用技術」に関する調査検討の一環として行われた。mBANの性能測定を通じて、医療現場における無線通信に求められる信頼性や安全性の調査を目的とし、富士通クリニックの病室において2013年2月18日~22日にかけて行われた。

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実験では、富士通の従業員が患者役となり、試作無線機を体に取り付けて、装置の位置や患者役の体勢をさまざまに変えて性能測定を行った。また、身体付近での通信の信頼性も検証した。同一の病室内で独立した複数のmBANが利用されている場合でも、干渉することなく安全に利用できたという。

富士通では、mBANが医療現場における通信ネットワークのスタンダードになると考え、今後も開発を続けていくと述べている。