富士通は4月10日、同社のコンセプトと対応技術/商品群を体系化した「Fujitsu Technology and Service Vision」を発表した。同社が掲げる全社ビジョン「ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ」に基づき、ビジネスと社会のイノベーションの姿を示したうえで、テクノロジーとサービスのコンセプトを明確化し、同社の商品体系に結びつけている。

富士通 代表取締役副社長 マーケティング部門長の佐伯秀幸氏

発表会ではまず、ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティについて説明。言葉の定義について「人々が可能性を最大限に発揮してイノベーションを生み出し、安心安全に暮らし、情報が新たな価値を生み出し、持続的に成長していく社会」と明確化したうえで、具体的なアクションとして「人が活動する場でのイノベーションの実現」、「ビジネス・社会を情報装備」、「End-to-Endで全社最適化」という3つを挙げた。

続いて、「ビジネスと社会のイノベーションの姿」と題して、先進のICTが人々の活動に変革をもたらす、以下の6つのコンセプトと先行事例を提示した。

  • フィジカル+ディジタルのビジネスモデル : スマートフォンや車載IT機器、住宅用IT機器などをM2Mで結び付けビジネスに活かすなど、人を中心に現実世界とデジタルの世界を融合させて新たな価値を生む活動
  • 情報が結びつける世界 : かかりつけの医院と介護施設、保健所、高度先進医療施設などを連携させて診療情報を共有するなどの例を提示。業種、地域の壁を越えたサービスを展開できるとした
  • 富士通 執行役員 マーケティング部門 副部門長の松本端午氏

  • コンピューティングのもたらす新たな力 : 理化学研究所のスーパーコンピューター「京」をはじめ、進化したコンピューティングパワーを活用して研究開発などに活用。サイエンスとエンジニアリングの領域が密接になり、成果はリアルタイムに近いかたちで得られるとした
  • リアルタイムの対応 : センサー技術などを活用して、今起こっていることをリアルタイムに把握/分析して迅速に行動することが可能に。将来に対する確かな予測に基づいてプロアクティブに行動し、全体を短いクロックで回していくことができるとした
  • 人のつながりと協働 : ソーシャルネットワークがビジネスと社会につながっている現状を解説。そのうえで情報から知の想像が可能になるとした
  • インテリジェントな社会基盤 : 食品、流通などの第一次産業から、環境、教育、福祉、交通まで、さまざまな業種の情報を結び付け、ICTの力で持続可能な社会を実現していけるとした

さらに発表会では、こうした世界を前提にした富士通のバリューとして、ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティに向けた3つのアクションに沿って以下の8点が挙られた。

  • 人が活動する場でのイノベーションの実現 : 「インテグレーションによる価値の創造」、「オンデマンド・エブリシング」、「モビリティとエンパワーメント」
  • ビジネス・社会を情報装備 : 「情報からの新たな価値」、「セキュリティとガバナンス」
  • End-to-Endで全社最適化 : 「モダナイゼーションからイノベーションへ」、「統合されたコンピューティング」、「ネットワーク・ワイドな最適化」

富士通のICTにおける8つのバリュー

総合的に活用したサービスの例として、車両からのプローブ情報、人や施設の情報、センサー情報、インターネット情報などを収集/分析して、危険エリアを通知したり、人気スポットを紹介したりするクラウドサービス「SPATIOWL」を紹介。同様の総合的な取り組みをほかの分野でも実施していくと強調した。

SPATIOWLの例