富士フイルムと静岡県立静岡がんセンターは、人工知能の技術を用いて医師の画像診断をサポートする世界で初めての「類似症例検索システム」の開発に成功したと発表した。富士フイルムは同システムを2012年秋に発売する予定で、肺がんを対象とし、類似CT画像検索機能を提供する。

「類似症例検索システム」は、富士フイルムの人工知能技術に、静岡がんセンターの約1000例の症例データベースを組み合わせたもの

同システムは、CT画像の読影を行う際に組み込まれた症例データベースから病変の特徴が類似した症例画像を瞬時に検索し、似ている順番に複数の画像を表示。これらの画像には正確な診断がつけられており、医師はそれを参考に検査画像と比較しながら画像診断を行うことができる。症例データベースには、導入施設ごとに蓄積された過去の症例を追加登録することが可能だ。

静岡がんセンターの実験では約9割の確率で適切な類似症例が表示されたという。それを参考に読影レポートを効率的に作成したり、研修医の教育用途などにも活用できるとしている。

同システムには、肺がんの複雑かつ多様な画像パターンに対し、医師の観点に基づいて画像の類似性を定量化する新たな技術が組み込まれており、同社では今後肺がん以外の画像にも対象疾患を拡大していく予定。