IBM Software Solutions Group シニアバイスプレジデント Michael D. Rhodin氏

日本アイ・ビー・エム ソフトウェアグループは10月14日、プレス向けに説明会を開催し、同グループを構成する2つのグループのうち、ソリューショングループが注力している分野について説明を行った。

同社ソフトウェアグループは2010年にソリューショングループとミドルウェアグ ループに再編されており、ソリューショングループでは、ビジネス・アナリティクスやSmarter Cityといった、企業買収をはじめとした大きな投資が行われている成長分野を統括している。

今回、IBM Software Solutions Group シニアバイスプレジデントのMichael D. Rhodin氏が、Software Solutions Groupの戦略を紹介した。

同グループが注力している分野として、「BAO(ビジネス・アナリティクス・アンド・オプティマイゼーション)」「スマーター・コマース」「ソーシャル・ビジネス」「スマートな都市」の4つが挙げられた。

同氏は、同社が顧客企業の経営層を対象に行っている調査から、ビジネスが経験ベースから事実ベースになっていることが明らかになったと説明した。事実ベースでビジネスを進めるには、データを収集して解析することが必要となり、それを実現するのが同グループが注力している事業となる。

同氏は4つの事業について次のように説明した。

「BAOは、企業にとって必要な膨大なデータを収集し、収集したデータから洞察を得ることを可能にする。企業はリスクマネジメントに洞察を活用することで、問題が発生した場合もインパクトを抑えられる。スマーター・コマースは、販売・マーケティング・サービス・購買という一連の商取引のプロセスに対しスマートな手法を提案するもの。エンド・ツー・エンドでソリューションを提供できるよう、買収を進めている。ソーシャル・ビジネスはソーシャル・ネットワーキングの技術やコンテンツを用いて、フロントエンドのビジネスを改善する。スマートな都市を実現する製品として、交通システム向け『Intelligent Transportation』、水道事業向け『同 Water』、警察向け『Public Safety』、エネルギー管理向け『Smarter Building』を提供している」

4つの分野とは別に、新たな事業として、ワトソンの事業化が紹介された。ワトソンとは、自然言語を分析し、複雑な質問に対する解答を高速に求めることに特化した分析コンピューティング・システムだ。今年2月に、米国の人気クイズ番組『Jeopardy(ジョパディ)!』で歴代出場者のうち好成績で名高いケン・ジェニングス氏およびブラッド・ラター氏と対決し、見事勝利を収めた。

同氏はワトソンについて、「子供を教育するように、知識を教えることと質問を繰り返すことで、解答の精度を高めていく。今年2月のJeopardyの対決が終わった後、ヘルスケア分野の知識をワトソンに教え始めた。すでに、米国のWellPointという医療機関において、ワトソンの試用が始まっている」と語った。

ワトソンの事業家はアプリケーションと業種を絞った形でスタートする。先に述べたように、初めにフォーカスする分野は「ヘルスケア/ライフ・サイエンス」となる。用途としては、「医療保険の支払い管理」や「診断・処置の意思決定支援」が考えられている。そのほか、今後、「金融サービス」や「コンタクトセンター」においてもワトソンの活用が計画されている。