エーピーシー・ジャパンは8月8日、プレスを対象としたセミナー「電力不足の今、データセンター事業者が実施するエネルギーマネジメント」を開催した。同セミナーでは、実機のデモ、電力効率を27%向上させた富士通東北システムズの導入事例を交え、同社のデータセンターソリューション「InfraStruXure」の紹介が行われた。

今後のデータセンターが抱える2つの課題

エーピーシー・ジャパン ビジネス・ディベロップメント部 ディレクター 有本一氏

エーピーシー・ジャパン ビジネス・ディベロップメント部 ディレクターの有本一氏は、今日のデータセンターを理解するうえで2つのキーワードがあると述べた。

1つ目のキーワードは「運用管理」だ。これまで、データセンターのファシリティの運用は設備を担当する部署の任務だったが、クラウドやSaaSといったサービスの普及により、IT管理者の担当範囲になるという。2つ目のキーワードは「エネルギーの効率化」だ。同社は、「効率的な機器の導入と展開」、「自動化による効率最適化」、「可視化とメンテナンス」という3つの項目を回していくことで、エネルギーを最大30%削減できると提言している。

この2つの課題を解決するためのソリューションとして、同社が提供しているのが「InfraStruXure」だ。InfraStruXureは、電源、空調、環境監視/マネジメント、ラック/PDU、サポートサービスが統合されている。

同氏はInfraStruXureの特徴として、「モジュラー化」と「標準化」を挙げた。同社のモジュラー型センターは従来のデータセンターに比べて、ラックの列ごとに電力・冷却密度に応じてキャパシティを変更できるほか、必要な時に必要な量のモジュールをオンラインで追加できるという特徴を備えている。

「最近、コンテナを活用したモジュラー型データセンターを提供するベンダーが増えているが、APCのモジュラー型のインフラはコンテナだけじゃない」と、同氏は同社のアドバンテージを訴えた。同社では、「インターナル」モジュラー機構、「モジュラー型ポッド」、「モジュラー型サブシステム」といった具合に、規模に応じた形でモジュラー型のインフラを提供できるのだ。

APCが提供する多彩なモジュラー型インフラ

PDUや空調が新しくなったInfraStruXureの最新版

さらに同氏は、今年発表されたInfraStruXureの最新版の特徴について説明した。最新版は第三世代に当たり、モジュラー型分電盤「PDPM」、天吊型空調「InRow/OA」、次世代PDU「NG-PDU」、運用管理ソフト「InfraStruXure Management Software 6.2」が新たに追加された。

進化を続けるInfraStruXure。最新版は第3世代に当たる

モジュラー型分電盤「PDPM」はホットスワップに対応しているため、分電盤設置時以降のブレーカーの追加変更時に配線工事とシャットダウンが不要となっており、「作業と設計を単純化できる」と同氏。また、天吊型空調「InRow/OA」はホットアイル上部にユニットを設置するため、スペース効率が高い。次世代PDUとしては、コンセントごとに管理が可能な「Switched Plus」の提供が開始された。第2世代に当たるPDU「RM-PDU」には上下反転が可能なLCDディスプレイが搭載されている。

ホットスワップに対応しているモジュラー型分電盤「PDPM」

ホットアイル上部にユニットを設置するため、スペース効率が高い天吊型空調「InRow/OA」

コンセントごとに管理が可能な次世代PDU「Switched Plus」

そして、同氏は今後InfraStruXureにおいてソフトウェア連携に力を入れていくと説明した。InfraStruXureとサーバ/ネットワーク管理ソフト、アプリケーション管理ソフト、ビルディング管理システムなどを連携させていくという。

UPSをはじめとするさまざまな機器の情報を把握できる「InfraStruXure Management Software」

北国型データセンターにおける導入事例

富士通東北システムズ ビジネスモデル変革室 IT エキスパートの江口則地氏

同社製品の導入事例として、富士通東北システムズが紹介された。セミナーには、富士通東北システムズ ビジネスモデル変革室 IT エキスパートの江口則地氏から詳細についての説明が行われた。

同氏はデータセンターの増床を行うにあたって「スモールスタート」、「省エネ・エコ」、「東北独自の空調管理」、「客先にも導入できる製品」という4つのポイントがあったが、これらを満たすのがAPC製品だったと述べた。

「増床するにあたり、『床下にフリーアクセルフロアを設置できない』という課題が出てきたが、APCのInfraStruXureなら、床下空調を使わないので、当社のニーズにマッチしていた。また、ラック型の冷却装置「InRow」を導入したことで、ビジネスの規模に応じてモジュール単位での拡張が可能になった」

APCのInfraStruXureを導入した富士通東北システムズのデータセンターの概要

富士通東北システムズのデータセンターは青森県にあることから、東北の寒冷な気候を活用し、自然の冷外気を利用した空調システムを構築している。APC製品との導入とも合わせて、同社は一般的なデータセンターのPUEが1.9であるのに対し、同社のデータセンターは27%減の1.37を達成する見込みだという。

目で見るInfraStruXureの特徴

セミナーでは、InfraStruXureを構成する各種機器とソフトウェアのデモが行われた。機器については、モジュラー型分電盤「PDPM」、天吊型空調「InRow/OA」、モジュラー型電源「Symmetra MW」などが披露された。

電源、UPS、分電盤など、すべてモジュラー化されている

InfraStruXureの構成例

また、InfraStruXure Management Softwareのデモも行われた。同製品は、統合監視ソフト「InfraStruXure Central」、インベントリ管理ソフト「同 Operations」、容量管理ソフト「同 Capacity」、変更管理ソフト「同 Change」、モバイル端末向け管理ソフト「同 Mobile」などから構成される。バージョン6.2で機能が拡張されたのは「InfraStruXure Operations」、「同 Capacity」だ。

Operationsでは、仮想化環境のインベントリ管理とインパクト分析が可能になったほか、ネットワーク管理機能が強化された。Capacityでは、仮想化連携機能として、VMware vShere v4.0との連携が追加され、ラックアドバイザーのネットワークポートチェック機能が強化された。

「InfraStruXure Central」の画面

「InfraStruXure Operations」の画面