三洋電機は2月1日、2011年3月期第3四半期の決算概要を発表した。2010年4月から12月までの累計売上高は前年同期比3.1%減の1兆1492億6600万円と減収もなるも、営業利益は同14.0%増の309億7300万円、継続事業税引き前四半期純損益はON Semiconductorへの事業売却効果などがあり、前年同期の277億5100万円の赤字から232億2000万円の黒字へと益転を果たしたほか、株主に帰属する四半期純損益は同447億4200万円の赤字から、23億2000万円の黒字へと益転を果たした。

三洋電機の2011年3月期第1四半期から第3四半期までの累計業績

商品部門(セグメント)別の第3四半期までの累計売上高は、エナジー部門が、日本政府の太陽電池の補助政策による堅調な需要を背景に国内を中心に増収となったものの、2次電池が、リチウムイオン電池の韓国勢のウォン安を背景とした価格競争に押される形で売上減少となったほか、2010年1月におこなったニッケル水素電池事業などの事業譲渡により、減収となった結果、前年同期比3.2%減となる3,117億円となった。

また、電子デバイス部門は、期前半のIT関連市場の回復により、光ピックアップやキャパシタが堅調に推移し、売り上げが増加したほか、非継続事業となった半導体事業の売り上げを除いた結果、同5.5%増の1,595億円となった。

デジタルシステム部門は、テレビが新興国市場での販売増加により増収となり、プロジェクタも前年並みの販売台数を達成しつつも円高の影響を受けたほか、デジタルカメラなどの価格下落や競争激化の影響もあり、同13.3%減の2,331億円となった。

コマーシャル部門は、ショーケースや業務用厨房機器などのコールドチェーン機器が中国・アジア向けを中心に売り上げが増加したほか、洗濯機も国内を中心に売り上げが増加、バイオメディカ事業も国内外ともに売り上げを伸ばした。しかし、企業の設備投資抑制などにより大型エアコンなどの空調機器やメディコム事業の売り上げが減少した結果、同1.1%減の2,163億円となった。

コンシューマエレクトロニクス部門は、生活家電が国内市場において冷蔵庫や掃除機などの好調により増収となったほか、カーナビゲーションやカーオーディオなどの車載機器も、期前半の車両販売の回復、国内のエコカー補助金の効果などにより売り上げが増加した結果、同8.7%増の1,703億円となった。

9カ月累計の各セグメント別の売り上げ

また、これらセグメント別の営業損益は、エナジー部門が2次電池の競争激化の影響を受けた格好となり、前年同期比35億円減の139億円、電子デバイスは第1四半期のIT関連市場の回復基調を受け同70億円増の117億円となった。また、デジタルシステム部門はデジタルカメラの減収が響き、同62億円減の25億円、コマーシャル部門もメディコム事業と空調機器の減収影響により同6億円減の10億円となったが、コンシューマエレクトロニクス部門は、カーナビやカーオーディオのほか、炊飯器や電動アシスト自転車などが好調だったことから同11億円増の88億円となり、その他部門の3億円と合わせると、9カ月累計の営業利益はおよそ310億円となる。

9カ月累計のセグメント別の営業利益

なお、同社は2010年12月9日にON Semiconductorの100%子会社に三洋半導体に譲渡することに伴う支援費用を盛り込んだ業績予測の修正を行っている。それによると、通期売上高は1兆6000億円、営業利益は400億円、継続事業税引前当期純利益150億円と前回発表より変更はないものの、当期純損益が前回発表の50億円の利益から250億円の損失へと下方修正としている。ただし、「一過性の費用であり、将来的に負担になるものではない。来年度には三洋電機はパナソニックの100%子会社となるが、その前に示したこの業績は必ず達成したい」(三洋電機 取締役 常務執行役員 松葉健次郎氏)と決意を示し、今後は「パナソニックグループの一員として、三洋電機の強みである太陽電池と2次電池で存在感を高めていきたい」との抱負を述べたほか、ライスブレッドクッカー「GOPAN(ゴパン)」の増産を4月から行うことで需要に対応していくとした。