平成23年 年頭挨拶

インターネットイニシアティブ 代表取締役社長 鈴木幸一

新年明けましておめでとうございます。

政治から経済、産業、生活に至るまで、世界中の仕組みを変えてしまうインターネットという技術革新の無限の可能性を理解し、インターネットの商用化を日本で初めて手掛けたIIJは、創業20年近くになります。

通信の技術基盤が、電話に象徴される旧来の技術から、コンピュータサイエンスに置き換わることによって、引き起こされる変化の大きさは、誰も正確には予測がつかないほどです。

国境のないネットワークという、当初から想定されていた通信網であるインターネットの実現は、グローバルの概念そのものを変え、異なった次元の世界をつくり始めています。

誰もが参加できる自由なネットワークの上で、世界のあらゆるデータがネットワークにリンクされることで、無限の拡がりと増幅を可能にするものとなった結果、「情報」という概念そのものが、根柢から変わり始めています。巨大な変化は、未だ、緒についたばかりで、日々、技術革新が進み、その利用形態も、怖さも含めて、想定を超える拡がりを見せています。

巨大な技術革新は、新たな産業を興すエンジンとなることは間違いありませんが、一方、旧来の仕組みをすべて変えてしまう技術革新だけに、あらゆる局面で破壊に向かうエネルギーを増大させる可能性があります。

混迷が続く日本の政治状況は、将来の国のかたちが描かれ、そこに向かって求心的な意志を持って推進する体制が、もしできるとすれば、混迷は終わるはずですが、インターネットという巨大な技術革新が起こす混乱は、すべてを変えつくすエネルギーが爆発し続けるものだけに、その利用と制御は、実に難しいものです。

20年近くに亘って、日本におけるインターネットの技術的なイニシアティブを取り続けてきたIIJは、あらゆる意味で、最も深くインターネットを理解している企業であるという自負を持ちながら、利用者の方々に高品質・高信頼性のサービスを提供するとともに、利用者の方々とコミュニケーションを重ねながら、新しい利用形態を提示していきたいと思います。