東南アジア地域でインターネットの"検閲"が広がりつつある。とはいっても中国に代表されるように、国のネットワークを丸ごとファイアウォールと監視装置で覆うのではなく、資金や技術も不足する国々では、より実力行使とも呼べる方法を駆使しているようだ。米Wall Street Journalが9月14日(現地時間)付けの記事で伝えている。

WSJの記事「Web Censoring Widens Across Southeast Asia」によれば、Webフィルタリングによりオンライン上での情報アクセスを規制するのではなく、問題のあるコンテンツを掲載したブロガーや個人を直接逮捕することで取り締まるというのがその手段だ。中国などでのケースでは、政府批判に結びつくコンテンツへのアクセスを遮断し、ユーザーのネット利用動向を監視することで、反政府運動の盛り上がりや有害コンテンツの排除を同時に行っているとみられる。だがこうした大掛かりな仕組みを構築できない国々では、より直接的に取り締まることで、威嚇ともいえる行動でユーザーの活動を制限する傾向があるという。

メディア統制が敷かれているシンガポールはインターネットには寛容。東南アジア地域でも国によって温度差がある

例えばマレーシアのケースでは、植民地時代の内部保安法案を駆使してブロガーらを法廷を経由せずに最大2年の禁固刑に追い込んでいる。タイでも同様に、最近制定されたばかりのコンピュータ犯罪法案で王家への攻撃を禁じたり、政府が禁止する扇動的なコンテンツの拡散抑止を行っている。社会主義国のベトナムでは、反政府に結びつくコンテンツを投稿した人々の検挙を進めている。このように政府ではテクノロジーの存在を歓迎すると同時に、インターネットならびに、携帯電話やソーシャルネットワーキングを通じてユーザーらが運動をどのように扇動していくのかに注視しているようだ。タイのバンコクを拠点に活動するメディア団体Southeast Asia Press AllianceのRoby Alampay氏は「これら地域の多くの政府が、テクノロジーだけでこうした反対意見を閉め出せないことを理解している。なぜなら人々は常に迂回路を探しているからだ」と指摘する。

一方で国による温度差もある。例えばシンガポールでは国がメディアをコントロールしている統制国家であることが知られているが、一方でインターネットの検閲には参加していない。フィリピンやインドネシアでも同様のスタンスをとっており、必ずしも抑圧的な姿勢で新技術に臨んでいるというわけではないようだ。