地デジ放送対応受信機の普及率はわずか49.1%

TBSメディア総合研究所取締役相談役の前川秀樹氏

2009年1月の総務省の調査では、地デジ放送対応受信機の普及率はわずか49.1%。特に集合住宅や受信障害対策共施設の地デジ対応が遅れており、改修工事がアナログ停波直前に集中し、工事事業者が対応しきれないといった状況も懸念されている。こうした状況もあり、NHK放送文化研究所が2009年3月に行ったネット調査では、2011年7月のアナログ停波実施に否定的な回答が55%にも上っている。

シンポジウム第2部の「アナログ停波をどう実現するのか?」では、総務省の山川氏が行政の立場から「(視聴者側の地デジ対応が)ぎりぎりにならないよう手を打つくことに尽きる。2009年度がポイントだ」とし、今年度の補正予算案に盛り込まれた受信障害共聴施設の地デジ対応改修工事などに対する補助制度などを説明。追加経済対策に地デジTV購入費の最大13%のエコポイント還元が盛り込まれたことも「インセンティブになる」と期待した。停波延期の意見に対しては、「デッドラインがぐらぐらすると、デジタル対応していただく方に不安感を与える」と反対の意向を示した。

また竹中氏は、郵政民営化などを引き合いに出し「やらなければならないからやるのが政策」と発言。「完全デジタル化は、日本経済を活性化し国民の生活を豊かにする。必要があるものであり、時期を変える必要はない」と述べた。前川氏も「延期する場合にはどんな(有効な)手法や政策があるというのか? それ抜きで議論しても生産的ではない」と停波延期の議論自体を否定。「デジタル化は通信を含めた情報産業全体に大きな効果をもたらす」とその意義を強調した。

難視聴地域「IP再送信でやらざるをえない」

総務省情報流通行政局長の山川鉄郎氏

山間部などの難視聴地域では、アナログ停波までに電波を届ける手段が整備されないと予想される地域もある。この点について山川氏は「一義的には中継を使って放送を届ける。全国35万世帯ほどは間に合わないかもしれないが、電波が届くようになるまでの暫定的な措置として、放送衛星で番組を届けることにし、必要な特別な機器は国で配布する」と説明。

竹中氏は「最終的にはすべてを電波でやることはできず、IP再送信でやらざるをえないところが出るだろう。しかし今残っているところをすべてIP再送信にするとなれば電波の環境を整える投資インセンティブがそがれるし、これまでやってきたところに対し不利な状況になるかもしれない。"軟着陸"の最終段階でどのような判断をするか、首相らリーダーが決めるべき」とした。

堺屋氏は最後に「国が(アナログ停波を)決めたのだからこうだ、では国会の答弁としてはいいが、国民を説得するにはダメ。こんなにいいことがあるから国民のみなさんやりましょうという発想が必要だ」と広報体制の充実を提案した。