笑われ力は卑屈とは違う!
あなたの職場には笑いがありますか? 笑いがあると職場の雰囲気が明るくなり、気持ちよく働けるようになります。笑いは職場だけでなく友人関係、家族関係、近所付き合いなど、あらゆる人間関係を円滑にします。
人は一人で生きているのではありません。私たちは人との付き合いの中で仕事をし、日々の生活を送っているのです。私たちが生きていく上で人間関係は最も重要です。そのためには笑いをマスターすることがひとつの方法です。
世の中には人間関係でお悩みの方がたくさんいます。空気を読むことが苦手だ、引っ込み思案で人と打ち解けることができない、自分自身のキャラが立ってない、彼女ができない、という方、多いと思います。
そんな方にぜひおすすめしたいのが本書です。作者の太田さんは、私たちがより幸せに生きるためには「笑われ力」をマスターすることが大事だと言います。では「笑われ力」とは何でしょうか?
笑いというとお笑い芸人が繰り出す笑いがありますね。あなたの周りを見渡してみても、笑いを取れる人の話術がうらやましくなったりもするでしょう。しかしお笑い芸人並みのテクニックを身に付けるのは私たちには無理というものです。
「あの人、面白い!」とその場だけでキャーキャー言われる人気者もいいですが、「あの人といると、なごめるよね」とか「あの人といるとなんとなくラク」と、誰からも慕われる人こそ、本当の意味での人気者なのではないでしょうか。(本書より引用、以下カコミ内同)
私たち凡人はこのような慕われ系の人物を目指すべきなのです。そのためには自分の弱点をそのまま公開して「こんな俺、だめだめだよね~」と開き直り、周りの人から笑われることです。
人間は、隠されている「恥ずかしいこと」、「失敗」、「無知」などの「隙」を見つけると、そこを突きたくて仕方がなくなる習性があるようです。しかし逆に、「隙」を堂々と見せられてしまうと、不思議なことに、それ以上突っつく気を失ってしまいます。
自分の弱点をオープンにすることこそ最大の防御であり攻撃です。かといって「笑われ力」とはバカにされたり、卑屈になったり、相手をヨイショすることとは次元が違うと太田さんは言います。「笑われ力」とは素の自分を素直に出し、それを全面的に認めることによって、相手との間の緊張感をほぐし、相手にそれ以上の攻撃の意欲を失わせることができるものなのです。
やってはいけない"笑われ"方
こんな「笑われ力」をあなたも身に付けたくなりましたか? しかし、やってはいけない2つの笑いがあります。ひとつは「上司がセンスも品もない冗談を連発し、部下がそれに強制的に付き合わされる」という「強制的な笑い」です。ギャグで笑わせようとしても痛いだけですし、親父ギャグを撒き散らし周りに迷惑をかけるオヤジになってしまうのがオチ。
もうひとつの目指してはいけない笑いは「誰か自分より弱い者を貶めてみんなでからかう」という笑いです。これはある種のいじめです。これを太田さんは「邪悪な笑い」と呼んでいます。
私たちが身に付けるべき「笑われ力」への第一ステップは、「ダメな自分」を見つけることです。次にそれが他の人が笑える内容であるかを見定めることが大事です。
あくまでも他人事として、「誰かがこの話をしたら自分は笑えるだろうか」という立ち位置で自問自答を繰り返してください。自分を客観的に見つめる力が問われます。よく、「話がつまらない」といわれる人は、このプロセスが欠如していることが多いと考えられます。自分で自分に陶酔してしまうと、他人に面白さを伝えることはできません。
自分を客観視すること、これが本書のテーマでもあります。面白いことを書こうとして、文章自体が笑っていることがたまにありますが、読まされる身になるとまったく笑えないことが多いです。しゃべる場合でも、自分が笑いながら話しても他の人は興ざめするばかり。自分を客観視して語ることが重要なのです。
『笑われ力』を身に付けることによって、あなたはいつでも自分の中のもう一人の自分を呼び出してくることができるようになります。
自分を客観視できるようになると、トラブルが生じた場合にもパニックにならずに自分を笑い飛ばせるようになります。メンタルヘルス上もぜひ身に付けたい思考法です。
本書では具体的に「笑われ力」をマスターする秘訣があらゆる角度から語られています。例えば「笑われ100本ノック」というトレーニング。ちっちゃな夢100本、密かに好きなこと100本、ちょっぴりうれしかったこと100本など、自分のつまらないことを客観的に挙げていく作業は、ブログのネタ出しとしても使えるなぁと思いました。
「笑われ力」はビジネスシーンでも使えます。「空気が読めない同僚」や「無知な上司」への対処法は大人力検定で有名な石原壮一郎さんが本書を監修をしているだけあって大人力そのものという印象です。
『笑われ力』には、たくさんの人が集まる「場」にときどき発生する、「鼻につく臭い」を消す、消臭剤のような効果もあります。
「笑われ力」は人助けにも使えます。例えば、誰かが一人でしゃべりっぱなしという状況で、「おまえ、しゃべりすぎだよ!」と、いらっとすることがありますよね。そんな時は「笑われ相づち」を使いましょう。「ダジャレ」を言う人には「笑われダジャレ」で対応し、熱く評論する人には「笑われ自己批評」でクールダウン、というように笑われ力は自分も身を守る以外にも人の役にも立つのです。こんな「笑われ力」をあなたも身に付けてみませんか?
笑われ力
太田敏正 著 / 石原壮一郎 監修
ポプラ社
2008年11月15日 発行
A5判 / 208ページ
ISBN978-4-591-10613-6
定価: 1,200円 + 税
