公共のメッシュWi-Fiには反対

社会福祉国家のスウェーデンでは、ICTを国家・社会インフラの一部としてとらえている。「ICTなしには、企業も国も機能しない。高度なICTを整備することは、ごく基本的なことだ」とHansson氏はいう。高度なICTとは、ブロードバンド、モバイルはもちろん、信頼できる電力源の整備も含む。スウェーデンの広い国土を考えると、冒頭に挙げた固定と無線の高い人口カバー率は、簡単に達成できるものではないことが想像できる。

だが、インフラの整備はあくまでもビジネス主導だ。米サンフランシスコなど一部で公共ネットワークを提供する動きがあるが、Hansson氏は市や自治体によるインターネットサービスの予定はないという。「サービスを提供する企業があり、ビジネスが成り立っているのに、政府や自治体が市民の税金を使ってビジネス活動を阻害するのは正しくないと考える」とHansson氏は見解を説明する。

これまでの取り組みとしては、固定ブロードバンドについては、2000年に国のICTプログラムの一部として、ブロードバンドに投資することを決定、国と地方自治体が合計56億スウェーデンクローネ(約625億円)を投じて、普及率改善を図ったという。

アナログTV閉鎖完了、テレコムの機能分割案

モバイルでは、1997年、世界に先駆けてアナログTVを閉鎖してモバイルサービス向けに周波数帯を開放することを決定した。スウェーデンは国土が広く、人口密度が低い。アナログTVが利用していたUHF帯をモバイルに利用することで、少ない基地局で広いエリアをカバーするモバイルブロードバンドサービスを提供できる。コストにして10%削減できるという。

今年5月に発表した2.6GHz帯オークションの結果では、Telia、Telenor、3、Tele2の既存モバイルオペレータ4社に加え、Intel Capitalが落札した。Hansson氏は、「政府は技術中立の立場をとる」と述べるが、LTEとWiMAXが登場することになりそうだ。このオークションは、他のEU各国に先駆けて行われたもので、合計20億スウェーデンクローネ(約223億円)以上の売上げがあった。「オークションは、最高レベルのサービスをビジネスとして提供できる企業を選択する手段として評議会が推奨したもの」とHansson氏は説明する。

日本では3年後に予定されているデジタルTVへの移行、スウェーデンはすでに完了している。移行期間は2005年9月19日にスタートし、2007年10月15日にアナログTVを完全に閉鎖した。

テレコムでのもうひとつのトピックスは、機能分割法案だ。Hansson氏らが提案したもので、日本のNTTにあたる旧国営テレコムのTeliaがADSL市場での競争を妨害しているという苦情を受けてのもの。解決案として、英国の英国情報通信庁(Ofcom)によるBTへの対応が適切と評価し、Teliaの業務を設備とアクセスサービスに分けることを提案した。現在、郵政省(PTS)がTeliaと協議中で、合意に至らない場合は、PTSはこの法案を利用してTelia分割を強制できる。