サービス開始から4年、約1,600万ユーザー、月間約150億PV(※)という巨大SNSに成長したmixiが、新たな事業戦略をとる。27日、都内で会見を開いたミクシィは、OpenSocial参加表明以来、期待されていた同社のオープンプラットフォーム「mixi Platform」の提供を明らかにした。また、mixiへの参加方法として、従来の招待制に加えて登録制も採用することも発表された。

ミクシィ代表取締役社長 笠原健治氏

ミクシィの新たな事業戦略

「mixi Platform」を開放へ

mixi Platformは、パートナー企業や開発者がmixiを利用してサービスやアプリケーションを提供するための環境。会見では、mixi内でアプリケーションやサービスを提供するための「mixi アプリ」の提供、外部サービスでmixiのデータを利用するための「mixi Connect」の公開がアナウンスされた。mixi Platformを活用するパートナーを対象とした資金援助のファンドも設立される。

mixi アプリとは、mixi上で動作するアプリケーションやサービスの総称。米大手SNSのFacebookでは、SNS上で利用するウィジェット(Webアプリケーション)が2万件以上提供されており、大きな市場となっている。mixiでも同様のプラットフォームを用意し、開発者へ開放する。2008年12月11日よりパートナーを募集し、同時にベータ版の提供を開始、2009年1月にはパートナー向け説明会を行なう。正式版の公開は2009年春を予定。一般のmixiユーザーは正式公開後、パートナーが提供するさまざまなアプリケーション/サービスを選択し、ホーム画面上にレイアウトするなどして利用できるようになる。なお、mixiアプリはOpenSocial準拠のものを提供するため、他のOpenSocial準拠のSNSでも利用できる可能性はあるとのこと。

「mixi アプリ」の概要

「mixi Connect」の概要

mixi Connectは、mixiが持つデータを利用したWebサービスなどを可能にするもの。mixi上で動作するmixi アプリとは異なり、mixi以外の環境でWebサービスなどを展開するパートナー向けのものとなる。会見では同社代表取締役社長 笠原健治氏から、先に発表された「ミクシィ年賀状」(関連記事)もmixi Connectの事例と紹介された。ミクシィ年賀状は日本郵政とのビジネス提携色が強いが、他の利用例としては、たとえば、マイミクの状況を確認するためのデスクトップガジェットなどを作る場合は、mixi Connectを利用したデータ提供が必要になる。mixi Connectの提供開始は2009年春を予定している。

mixiアプリ、mixi Connectともに利用するにはサービス/アプリケーションごとの審査が必要になる。なお、mixi Platformの利用者としてはベンチャーなどの新興企業が想定されることから、資金援助などを目的としたファンドを設立する。笠原氏は、mixi Platformのような新たな市場を成長させるためにも、ニーズに応じて支援していきたいとした。

年齢制限の引き下げと登録制の併用

mixiの利用制限の緩和についても発表された。これまでは18歳未満のユーザーは利用できなかったが、2008年12月10日からは15~17歳の登録も可能になる。また、2009年春からは、会員からの招待状がなくてもmixiに参加できる"登録制"の利用が開始される。登録制の採用について笠原氏は、GmailやFacebookを例に、登録制の併用は自然な流れと説明。現在、mixiユーザーは大都市圏に集中する傾向があり、招待されにくい地方都市のユーザーや35歳以上のユーザーの参加を促進することで、新たなコミュニティの広がりが期待できるとした。

年齢制限の引き下げについて

登録制の導入について

年齢制限の引き下げや登録制の導入によって懸念される年齢詐称や複数アカウントの取得ついては、従来どおり新規登録時の携帯電話端末認証、生年月日の登録必須による対策をとるとしている。また、15~17歳のユーザーへの配慮として、青少年にふさわしくない広告(消費者金融系広告など)の非表示、友人検索結果での18歳未満ユーザーの非表示または同機能の使用制限なども検討する。このほか、ユーザーサポート体制を強化。24時間体制はそのままに、サポート要員をこれまでの100名規模から200名以上に増員した体制で運営していく。

利用制限の緩和などにともない、改めてSNSの健全化に関する取り組みを強化していくことも発表された

ミクシィが新たなビジネスインフラに

mixiがOpenSocialへの参加を表明してから1年(関連記事)。その流れの一環として、2008年8月には「mixi OpenID」の提供を開始し(関連記事)、今回のmixi Platformの発表をもってmixiのオープン化戦略が本格的なものとなった。今後はmixi アプリとmixi Connectを利用するサードパーティの多数参入が予想される。米Facebookに見るような、SNSを舞台とした盛り上がりがmixiでも起こるだろうか。笠原氏は、mixiの今後について、コミュニケーションインフラとしての役割を強化していきたいと語る。同時に、新たなビジネスのインフラとしての展開にも注目だろう。

※PC(49.9億PV)および携帯電話(97.8億PV)からのアクセス合計。