総務省ガイドラインと同様「ダブルオプトイン」を推薦
第2部では、エイケア・システムズ 取締役の山下英樹氏が「メール配信サービス提供事業者が提案する運用の改正ポイント」と題し講演。
改正迷惑メール防止法に対応した「適切なメール配信のための十カ条」として、以下の項目を挙げ、それぞれについて述べた。
事前に同意を得た相手にのみ送信する
同意の記録を保存する
容易な方法でメール受信の拒否ができるようにする
送信するメールには「送信者」に関する情報を記載する
送信者情報を偽った送信をしない
架空アドレス宛の送信をしない
受信制限に関する情報提供
「正しい」形式のメールで送る
送信者ドメイン認証への対応
受信者の立場になって方針を考える
(1)の「事前に同意を得た相手にのみ送信する」に関しては、同意を取得する際に「広告・宣伝メールを送信する旨」「送信者に関する情報」を表示すべきと補足。また、「送信頻度が多い場合や容量の大きいメールを送信する場合などはあらかじめその旨を伝えておくほうがよい」(同氏)と説明した。
また、同意取得の方法として、総務省ガイドラインと同様、「ダブルオプトイン」を推薦した。ダブルオプトインの例としては、確認用URLリンクを利用する二重確認がある。ユーザーが通知してきたメールアドレスに対し、業者から確認用リンクURLを記載するなどしたメールを送信、ユーザーがそのリンクをクリックすることで送信同意が完了するというものだ。
Webページ上でチェックボックスを利用して同意確認を行う場合は、「(そのチェックボックスが)デフォルトの状態がオン(同意)なのかオフなのか、一概にどちらが良いということではない」とし、「デフォルトオンの場合は、"チェックを外さない場合は同意したことになる"旨を表示するなどの対応が推奨される」と呼びかけた。
同意記録保存は「過剰な負担とならない範囲で」
(2)の「同意の記録を保存する」については、「オプトイン規制では、事前の同意の有無が適法であるかどうかが非常に重要な判断基準」と指摘。ただ、保存には多くの人手や費用も予想されることから、「過剰な負担とならない範囲での対応が望まれる」。
同意記録の保存期間については、悪質な事業者を取り締まるための経済産業省所管の法律である「特定商取引法(特定商取引に関する法律)」の規定に従ったほうがいいとし、「3年間の保存を意識せざるを得ないのではないか」と述べた。
(3)の「容易な方法でメール受信の拒否ができるようにする」では、一度メール送信に同意したものの、あとから受信を取りやめたいというユーザーへの配慮が必要と説明。「受信者が解除依頼を出してもメールが届く場合は非常に悪い印象を持たれる」。「受信拒否に関する分かりやすい案内と迅速な対応」がとれる仕組みを構築しておくことが望ましいとした。
なお、(8)の「正しい」形式のメールだが、これはどの環境でも正しい状態で閲覧できるメールを心がける意味。メール作りの基本として、機種依存文字の使用やHTMLメールのレイアウト崩れなどに注意するのは当然のことだろう。
山下氏は、その他についても詳しい内容を説明。受講者は、熱心に聞き入っていた。
その後、ダブルオプトインの推奨例となるメールマガジンの登録画面やオプトインの"駄目な例"を「Case Study」として紹介するなどし、講演を終えた。
講演後の質疑応答では、同意記録の保存期間や保存内容などについて質問が相次ぎ、改正法施行を前にした関心の高さを伺わせた。