--SaaSは、日本では普及が進んでいないのではないか?

我々の日本市場からの売上げは、未だ全体の数%だが、急成長しており、潜在的な力は高い。インターネットの利用頻度に比例して、さまざまな事業機会が生まれる。その点、日本は世界的にインターネット産業で先行している国の一つであり、大きなチャンスがあると考えており、日本での売上げはさらに拡大すると期待している。我々がSaaSの領域に進出してから8年になるが、SaaSの発想は、日本企業に受け入れられるようになってきた。日本郵政、みずほフィナンシャル・グループ、損保ジャパンなど、顧客が増えている。

--日本市場全体をどうみているのか?

SaaSに対する意識は、日本と米国で、類似点もあれば異なる点もあるが、企業をとりまく環境の共通点としては、企業が迅速、機敏に動いて、事業を展開しなければならないことと、技術革新が求められていることだろう。日本市場で好ましいことは、品質に対して高い要求があることだ。セールスフォースは、SaaSベンダーとして、最も信頼性が高く、高速性もあると考えているが、この点で、当社は日本では抜群だったことから、日本の企業から高い評価を得られた。日本市場のような高い品質を求める市場があったのは、当社にとっては良いことだったと感じている。

--日本では、ソフトの価格より、安心感が重視されているのではないか?

当社が提供するSaaSでは、セキュリティであれ、性能であれ、決してオプションではないと認識している。それらは決してプレミアムで提供しているのではなく、最低限、このくらいはなければならないと考えて提供している。卓越したセキュリティを確保しているからこそ、セールスフォースは成功を収めている。

--日本には中小企業が多いがSaaSは、中小企業に適しているのか?

大企業、中小企業ともに、SaaS/PaaSは有益なモデルだといえるのではないか。当社は、ユーザーとなる企業が展開するビジネスの規模がどのくらいであっても、その大きさに応じた、最適なソフトウェア、サービスを要することができる唯一の企業だ。実際、売上げの比率は、大企業、中企業、小企業がそれぞれ1/3ずつになっている。自社内にソフトを保有する形式は、中小以下の企業にとって、コストの点で適切だとはいえない。