日本ビクターは16日、YouTubeに簡単操作で動画をアップロードできるデジタルビデオカメラ「メモリームービー Everio GZ-MS100」を18日から発売すると発表した。実売想定価格は5万円前後。

メモリームービー Everio GZ-MS100

手のひらに収まるコンパクトな軽量ボディ

本体は一般的な横型のボディで、レンズに光学35倍ズーム・コニカミノルタレンズを搭載。レンズの焦点距離は35mm判換算で41~1,435mm、F値はF1.8~F4.0。撮像素子は1/6型68万画素CCDを搭載する。

同社のカムコーダー事業部商品企画部カムコーダーグループ主査の武富浩一郎氏によれば、国内でブロードバンド環境が普及し、ユーザー全体で見ると1日1時間以上、ネットにアクセスしているという。その原動力となっているのが、特に若い世代では「動画共有サイトの閲覧に時間を費やしている」(同氏)。

日本ビクター カムコーダー事業部商品企画部カムコーダーグループ主査 武富浩一郎氏

ネット利用時間の増大は動画共有サービスが大きな要因となっている、という

そうした現状を踏まえ同社では、これまでの撮影してテレビで見る、という視聴方法に加え、「動画を共有する」という新たなスタイルの提案を盛り込み、それを実現するために今回の製品を開発したという。

これまでの撮る、見るという動画の視聴方法に、「共有する」を加えるのが今回のコンセプト

液晶画面を開いた本体側面に「ワンタッチアップロード」ボタンを装備しており、撮影時にこれを押してモードを切り替えると、撮影時間が1回あたり10分間に制限される。YouTubeには1本あたり10分以内という動画の時間制限があり、この制限に合わせた仕様だ。

液晶を開いたところ。側面にある「UPLOAD」を押すとYouTube用の撮影モード

記録した動画は、記録時間が制限されている以外は通常の撮影モードと変わらず、最高画質での記録も可能。アップロード時に動画を約100MBのファイルに変換することで、記録は高画質ながらYouTubeでのアップロードに対応した。

YouTubeにアップロードするための付属ソフト「PowerCinema NE for Everio」(CyberLink製)。自動でリストアップされた動画からアップロードしたい動画を選択する

YouTubeのアカウントを持っていれば、そのままログインでき、あとはカテゴリと公開・非公開を選ぶ。タイトルや説明、タグは自動入力されるので、変えたい場合はアップロード後にYouTubeのサイトから変更する

この時点では通常のMPEG-2 PS形式のSD-VIDEO動画だが、USBでPCとカメラを接続すると、自動的に同梱のソフトが起動し、YouTubeのように撮影した動画をリストアップ。あとは動画を選択して数回クリックするだけで、自動的に動画をYouTube用に変換し、アップロードしてくれる。1本あたり100MBになるように変換するため、同時に10本まで選択してアップロードすることが可能だ。

同様のYouTube用撮影機能とソフトウェアの組み合わせは、デジタルカメラでカシオ計算機が提供しているが、ビデオカメラでは「初めて」(武富氏)だという。カシオとは異なり、撮影モードをYouTube用に変更しても、最高画質を選べるなどビデオカメラとしての機能はすべて利用でき、アップロードする際もキーボードを使わずにマウスだけで行えるようにしたという。

YouTubeへのアップロードに対応しただけでなく、ビデオカメラとしてのスペックにも配慮。同社では初となる記録媒体にSDメモリーカードを単独で利用。本体のみで225g、撮影時でも270gと軽量化を図ったほか、レンズバリア内蔵、約1秒という高速起動モードの搭載、タッチパネル方式の「レーザータッチオペレーション」など、使いやすさにも配慮した。

液晶横にあるレーザータッチオペレーションによって、軽く指を動かすだけで画面の操作が可能。青いイルミネーションで動作を知らせてくれる

本体上部

武富氏は、これまでのビデオカメラが「家族のイベント、運動会、結婚式、旅行などでの撮影がメインで、季節ものという感じがあった」と指摘。それに対して今回のモデルでは「いつでも持ち出して、パッと撮って動画として上げてもらう」ことをコンセプトにしたという。

特に欧米市場を意識して開発されているため、まずはYouTubeをサポート。米国ではSNSの「MySpace」、日本では「ニコニコ動画」といったほかのサイトへの対応も検討していきたい考えだという。なお、すでに発売済みの米国では「予定数を超える販売を記録」(同)しているそうだ。