デルは6月11日、仮想化事業に関する記者説明会を開催し「Citrix XenServer」を活用した中小企業でも導入しやすい仮想化ソリューションの紹介を行った。

デルが展開するのは「Citrix XenServer」のOEMエディションをプリインストールしたUSBメモリを組み込んだ「PowerEdge」を中心に、仮想化導入の敷居を下げたソリューション。一式450万円の「はじめての仮想化パッケージ」も提供される。

仮想化というキーワードが話題になっても、大規模な環境を中心とした展開に留まっているのが現状だ。デルでもVMwareを活用したソリューションの提供などを行ってきているが、導入コストが壁となって中小規模環境では導入に至らないことも多いという。そうした状況の中、中小企業でも導入しやすい仮想化ソリューションとして用意されたのが「Citrix XenServer」を核としたソリューションだ。

デル 執行役員 アドバンスド・システム・グループ本部長 町田栄作氏

このソリューションについて執行役員 アドバンスド・システム・グループ本部長である町田栄作氏は「従業員数500名から1000名程度の中小企業でも仮想化を活用して欲しい。このソリューションは、日用品を棚から下ろしてそのまま使うような、そういうイメージでの仮想化の実現している」と語っている。

今回提供される「Citrix XenServer Dell Edition」は、1GBのUSBメモリにオープンソースの仮想化ソフトウェア「XenServer」を組み込んでいる。デルのIAサーバ「PowerEdge」の内部コネクタにUSBメモリが挿入されている形で提供される。利用時にはUSBメモリ内からブートを行い、設定をするだけでよい。

シトリックス・システムズ・ジャパン サーババーチャリゼーションセールスシステムズエンジニアリング 部長 平谷靖志氏

「インストールがいらず、仮想環境が実行されるまで約3分と手軽。ライセンス価格を抑えているほか、ライセンス管理ツールも無償で提供しているなど価格面でもメリットがある」とシトリックス・システムズ・ジャパン サーババーチャリゼーションセールス システムズエンジニアリング 部長である平谷靖志氏は語る。

PowerEdgeに取り付けられたUSBメモリ

「Citrix XenServer」には、最も手軽な製品として、単一サーバでの利用で起動OS数は4に限られるが、無料で利用することのできる「Express Edition」が存在する。OEMエディションは機能的にはこれと同じで、管理コンポーネントやローカルグラフィック管理コンソールをカスタムインテグレーション可能となっている。そして、追加してライセンスを購入した場合、ライセンスキーを入力するだけでアップグレードが可能だ。デルで提供するアップグレードライセンスはEnterpriseエディションのみだが、別途通常購入でStandardエディション等を購入し、ライセンスキーを入力することもできる。

Citrix XenServerのラインアップ

Citrix XenServer各エディションの詳細

デル ソリューション&アライアンス・マーケティング本部 大植吉浩氏

このOEMエディション搭載したPower Edge2950 IIIに、ストレージとしてDell PowerVault MD3000を組み合わせたものが「はじめての仮想化パッケージ」として提供される。管理ツールはクライアントにインストールすることが推奨されているため別途サーバを立てる必要もなく、約15台の仮想マシンを実行可能なパッケージを450万円で入手することが可能となる。ソリューション&アライアンス・マーケティング本部の大植吉浩氏は「同様のパッケージはVMwareでも用意しているが、VMwareは大規模に展開することを前提としているため、標準構成の価格は700万円となる」と両者の違いについて語り、「Citrix XenServer」版のパッケージが非常にリーズナブルであることを強調した。「Citrix XenServer Dell Edition」そのものの価格は「ほぼ1GBのUSBメモリ代」ということで1万円程度。Enterpriseエディションへのアップグレードライセンス価格は35万3000円となっている。

「はじめての仮想化パッケージ」詳細

インテル 営業本部 市場開発マネージャー 矢嶋哲郎氏

また、インテル 営業本部 市場開発マネージャーである矢嶋哲郎氏は、PowerEdgeに採用されているクアッドコアXeon 5400番台について「45nmプロセスのXeon 5400番台は仮想化を想定した設計になっているのが特徴。2004年のXenプロジェクト初期からインテルは様々な分野で貢献しており、現在もサーバのパワーマネジメントやマルチコアの最適化、NUMAサポート等の検証を行っている」とXenによる仮想化分野への取り組みを語った。