「世界の工場」の称号をもつ広東省東莞市には、製造加工業務を主要業務とする登録企業が10万社以上あり、多くの企業がすでにERPによる情報化管理を導入している。言ってみれば、東莞の製造業の情報化構築は中国国内の製造業の情報化の手本、ともいえるのである。しかし、実際には、多くの企業が情報化と応用過程において、例外なく一つの問題に直面している。

ある調査によれば、目下、中国国内最大の経営管理ソフトウェアプロバイダの1社である神州数碼のERP関連売上の70%が他製品の代替だという。

昨年は、中国のERPソフトウェア市場が40億元規模に達し、前年比で少なくとも16.38%成長、世界ERP市場シェアの2%を占めると予測されていたのだった。ところがフタを開けてみると昨年の中国国内ERP市場の伸び率は2005年の22.38%ほども高くなかった。つまり、業界が予言していた市場の爆発的伸長という現象は結局起こらなかったのである。ERP業界の権威メディアe-worksは、今後数年間の中国ERP市場の全体的趨勢として、幾分の成長は見込めるが顕著なものではなく、年成長率で20%を下回るだろうと見ている。

中国企業のERPとの付き合い方は、いま新たな段階を迎えている。企業はもはやERP導入を経営の死活問題、などとは捉えなくなっている。各企業は、マネジメントの現状、市場の競争環境と「ERPがいう理想的状態」との間のギャップを見て、現存のERPは、企業発展の現実的ニーズに応えていないと判断した。しかもERPプロジェクトの更新には大量の資金が要る。こうした状況こそ、e-worksが中国のERP市場が転換期に突入したと見る所以となったのだ。