オフィスにおける隠れた“金食い虫”は、印刷コストである。会議資料、顧客向け提案書、各種報告書など、日々消費される印刷物は膨大だ。社内ルールの徹底を呼びかけても意識改革は浸透せず、実効性が薄いまま印刷コスト削減が進まない。そんな状況に陥っている企業も多いのではないだろうか。

そこで本連載では、多くの企業における企業印刷管理の現状を踏まえ、自治体をはじめ様々な業界で採用されている印刷コスト削減のためのソリューションや、官公庁や大手金融機関で採用されている印刷監査について、3回にわたって解説する。

第1回目は、コスト削減を進めるための印刷管理について紹介しよう。

その印刷は、本当に必要か

一般的な印刷コスト削減策として、「無駄な印刷をしないよう指導する」「社内資料には裏紙を使う」「カラー印刷は極力避ける」などが考えられる。ただ、このような“意識改革”だけでは実効性は乏しい。

では、実際の印刷枚数に目を向けてみるとどうだろう。印刷枚数は、印刷機 のカウンター値で把握できる。社員証などのICカードと連携すれば、部署や個人単位の枚数もわかるので、前月よりも極端に印刷枚数が増えた場合は、注意を促すなどの施策を行うこともできる。

しかし、それは本質的な問題解決にはつながらない。なぜならそれが「必要」な印刷なのか、あるいは「不要」な印刷なのかは、内容把握ができない限り本人の判断に委ねざるを得ないからだ。

一例として、配布し損ねた資料の話がある。例えば参加者が10人の会議で資料を11部印刷したとする。資料を揃える立場になれば、「会議資料が足りないことで上司から受ける叱責」よりも「無駄な印刷をしたことで受ける注意」の方がまだよいからだ。しかし、このような会議には欠席者がいる場合も少なくない。仮に1人欠席すれば、余った2部の資料は不要になり、廃棄となる。社内ルールの徹底でこれを削減できるかと言えば、現実的には難しいだろう。しかしこれが削減できれば20%の削減であることも事実だ。

その他にも、不要な印刷はたくさんある。例えば、上司が部下に「ためになる話だから」と新聞の記事をコピーして配布する、社内資料だが「取締役も見るから」とカラー印刷する、また役職者に多いのが、メールの印刷である。印刷している当人は決して無駄な印刷とは思っていないところが難しい点だ。「必要」とまでは行かずとも、「やむを得ないもの」くらいの感覚で行っているのだ。

前出のカウンター値による枚数管理だけでは、このような“忖度印刷”は全く削減できない。もとより、枚数管理ではその印刷が仕事なのか私的な内容なのかさえ判断できない。これでは、管理していないのも同然であり、印刷コスト削減が進まないのも当然だろう。

“部長専用機”がもたらす弊害

まず、オフィスを見渡していただきたい。そこに何台の印刷機があるだろうか。共有の複合機もあれば、デザインで使用する特別な用紙サイズのための印刷機もあるかもしれない。なぜか部長の席の近くには使途不明(とは言い過ぎかもしれないが)の専用印刷機が置かれていたり、年賀状を印刷するためだけのインクジェットプリンターが埃をかぶっていたりというケースも少なくないだろう。問題は、その一台一台にランニングコストがもれなく発生している事だ。

昨今オフィス用の印刷機は、機器そのものの売上ではなく、消耗品やメンテナンス費などアフターサービスで収益化する構造となっている。つまり、使わない印刷機はもちろん、稼働率が極端に低い印刷機も“金食い虫”となる。実際のオフィスには、このような機器が少なくないことに気づいていない場合もある。

一方で、高い稼働率の印刷機も注意が必要だ。印刷機は稼働率が高ければ劣化も早くなり、故障が頻発すればメンテナンスコストが上がるだけではなく、部署の生産性も下がる。高価なトナーしか使えない機器や、1枚あたりのトナー使用量が多い機器であれば、印刷枚数が増えるほど不要なコストが発生する。

これらの場合には、複数の低稼働率印刷機を1台の高速機へ集約したり、トナーの消費量が少ない新機種を導入したりするなどの施策を検討しながら、オフィスの快適性を考えた適正配置を行うべきである。オフィス環境を最適化することで不要なコスト削減による利益への貢献や、作業効率の向上が期待できるのではないだろうか。

印刷コスト削減の第一歩は、印刷コストの「見える化」から

印刷コストを削減するのであれば、「どの機種が何枚」だけではなく「誰が何を何のために」印刷したかまで管理しなくてはならない。大量のカラー印刷が発生したとしても、それが大口顧客へのプレゼン資料であれば、必要な印刷だと判断できるだろう。一方で、社内用、あるいは私的な目的でWebサイトの記事をカラーで印刷したとなれば、それは不要な印刷として注意されるべきである。 また、印刷機ごとの印刷枚数をそれぞれの印刷性能やランニングコストに基づき、数値として見ることができれば、オフィスに適切な台数と配置の検討や、新機種を導入する際の基準として利用できる。

最近では、印刷管理ソリューションを活用する事で、印刷内容は細かなレベルまで「見える化」できるようになった。オフィスにおけるコスト削減の最後の砦とも言われる「印刷コスト」の把握と削減は、ペーパーレスと頻繁に謳われていた時代よりも、より具現化できる時代に突入している。ここでのポイントは、印刷メーカーに縛られない、客観的な値を表示するソリューションの選択にある。

  • 日本テクノ・ラボ社印刷管理ソリューション「SPSE PRINT LOGGER」による印刷管理画面
  • 日本テクノ・ラボ社印刷管理ソリューション「SPSE PRINT LOGGER」による印刷管理画面

    参考:日本テクノ・ラボ社印刷管理ソリューション「SPSE PRINT LOGGER」による印刷管理画面。メーカーや機種の制約に縛られず印刷機ごとの稼働率や部課署ごとの印刷量などが正確に可視化され、詳細なグラフ表示が行われる

特定印刷メーカーによらない、客観性のある数値とデータを取得することが、印刷コスト削減の第一歩だ。印刷管理を行う際には、この点を特に重視するべきだろう。

ただし、印刷管理にはコスト削減とあわせて、もう一つ重視すべきポイントがある。それはセキュリティだ。次回は、紙媒体からの情報漏洩と、それを防ぐための印刷監査の必要性について解説する。

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