新型コロナウイルス感染症の拡大により、多くの企業がビジネス戦略の見直しを迫られている。いわゆる”ニューノーマル時代”で勝ち残るためには、デジタルによる事業変革と新たな価値創造が急務だ。

これを実現するDX(デジタルトランスフォーメーション)にいち早く取り組み、結果を出しているのがSOMPOホールディングスである。

7月9日に開催された「マイナビニュースフォーラム 2020 Summer for データ活用~不確実性の時代に求められるデータ戦略~」には、同社でDXの指揮を執るグループCDO 執行役常務 楢﨑浩一氏が登壇。「DX or Die」と題し、SOMPOホールディングスにおけるDX戦略について語った。

SOMPOが目指す”価値の再定義”

SOMPOホールディングスは、損害保険ジャパンを傘下に持つ国内最大級の保険会社の一つだ。国内損保事業や海外保険事業、国内生保事業に加えて介護/ヘルスケア事業も展開しており、その売上は3.3兆円、利益は1500億円という規模を誇る。

そんなSOMPOホールディングスが今、”保険が必要ない世界”を目指しているという。

背景にあるのはテクノロジーによる革新だ。楢﨑氏によると、今社内では「DX or Die」という言葉が標語として用いられているという。「デジタルトランスフォーメーションするか、それとも死ぬか」――かなり過激な言葉ではあるが、実際にそれほど大きな変化を迫られているのだと言えよう。

「社会の変化と技術の革新が加速し、ニューノーマルの時代が訪れました。GAFAなどの強力なプラットフォーマーでさえ、新型コロナウイルスの影響で価値の再定義を余儀なくされています。学び方、遊び方、生き方の全てがコロナによって変わりました。そのなかでビジネスはDXして生き残るか、DXせずにビジネス自体がなくなるかの崖っぷちにあると感じています」(楢﨑氏)

SOMPOホールディングス グループCDO 執行役常務 楢﨑浩一氏

SOMPOホールディングス グループCDO 執行役常務 楢﨑浩一氏

SOMPOのDXを牽引する楢﨑氏は、かつて三菱商事勤務時代にシリコンバレー駐在を経験し、ベンチャーの魅力に惹かれて現地で転職。5社のスタートアップで事業開発や経営に携わった経歴を持つ。

2016年にSOMPOホールディングスグループCDOに就任し、昨年からはデータ分析企業である米Palantirとの合弁で立ち上げたPalantir Technologies Japanの代表取締役 CEOを兼務している。ビッグデータ解析プラットフォームを展開するこのPalantir Technologies Japanこそ、SOMPOホールディングスの将来の”鍵”を握る存在なのである。

DXによる変化のなかでSOMPOが目指す社会とは「保険が必要ないほど安心/安全/健康な世界」だという。「保険会社なのに『保険が必要ない世界』を目指すのか?」と思われるかもしれない。だが、それこそがSOMPOにおける”価値の再定義”なのだと楢﨑氏は言う。

「皆さんが健康になるように、もっと安全に、安心して暮らせるようになるサービスをどんどん提供していくこと。SOMPOのサービスのおかげで毎日が健康で安心安全だといわれる世界をつくっていくことが、これからの使命だと考えています」

では、SOMPOではDXをどのように推進しているのだろうか。