3月に東証マザーズに上場

台湾のAI SaaS企業であるAppierはこのほど、2021年度第2四半期の業績と今後の国内とグローバルに関する戦略について、記者説明会をオンラインで開催した。説明会にはAppier CEO兼共同創業者のチハン・ユー氏、同 財務担当シニアバイスプレジデント兼ヘッドオブジャパンの橘浩二氏が出席した。

同社は2012年に設立し、2014年に生涯価値の高いユーザーを予測し、高い投資対効果が実現可能なユーザー獲得のプラットフォーム「CrossX」の提供を、2017年にAI予測モデルを自動的に構築してオーディエンスの行動予測を可能にするデータサイエンスプラットフォーム「AIXON」の提供をそれぞれ開始。その後、2018年にAIを活用してユーザーにパーソナライズされたメッセージを作成し、効率的にあらゆるチャネルを通じてユーザーとのエンゲージメントを実行するプラットフォーム「AIQUA」を提供開始した。

そして、2019年には日本のベンチャー企業を買収し、そのソリューションをAI技術で強化することで、購入をためらうユーザを特定し、売り上げの最大化と購入の動機付けを行うプラットフォーム「AiDeal」の提供を開始した。顧客の大半はBtoC企業が中心となっており、同社のソリューションはビジネス上の課題に対応する形で4製品を展している。

2021年3月に東京証券取引所マザーズに上場し、6月には台湾企業のBotBonnieを買収してオムニチャネル対応のチャットボットプラットフォーム「BotBonnie」の提供を開始している。

新型コロナウイルスによる世界的なパンデミックから1年半経過し、生活習慣が変わり、勉強、仕事、事業運営に至っても大きく変化しており、消費者は買い物や勉強、人とのコミュニケーションなど、すべてオンラインで行っているという認識のもと、ユー氏は次のように話す。

「Eコマースや小売業、銀行業界ではデジタルを中心としたマインドセットに軸足を変えつつある。デジタルエコノミーは加速度的に成長しているが、AIが可能にするデジタル変革のメリットを多くの企業が認識しはじめると、ますます成長は加速していく。当社は2012年に設立し、設立当初はAIの革命が大きなインパクトをもたらすという認識があり、ソフトウェアをよりスマートにするための取り組みを実施してきた。ただ、AIの革命はスタートしたばかりであり、当初はデジタルマーケティングを皮切りに事業を開始したが、さまざまな業界にまたがる形でAIのSaaS企業として多様な機能・能力を段階的に構築している」(ユー氏)

Appier CEO兼共同創業者のチハン・ユー氏

Appier CEO兼共同創業者のチハン・ユー氏

同氏によると、AIを活用して世界にインパクトを与えていくためには、AIへのアクセスを民主化する必要があり、大手から中小企業を含めてAIが可能にするデジタル化の恩恵を受けられて初めてインパクト与えられるものだという。これらの要素を同社のミッションに反映させており、将来の事象を予測するAIを用いてデータに基づく意思決定に従い、顧客企業の事業の成長・成功を支援していくこととしている。

創業から9年が経過し、2021年3月には東京証券取引所マザーズに上場している。現在はアジア太平洋地域、欧州、米国に17のオフィスを展開し、従業員数は500人、グローバルにおいて900以上の企業に対してデータに基づく意思決定により、成長・成功を支援しているという。

ユー氏は上場について「あくまでも新しい章の始まりに過ぎず、今後も長いジャーニーが待ち受けている。日本は重要なマーケットであり、日本企業の成功のためにコミットしていく。そして、AIが実現するデジタル変革をニューノーマルの中で事業者が追求し、ビジネスを立て直す際に当社が支援していく」と力を込める。