シャープは、ブルーレイディスク(BD)の新規格「BDXL」に対応したBDドライブを搭載したBDレコーダー「BD-HDW700」「BD-HDW70」の2モデルを、7月30日から発売する。BDXL対応レコーダーの商品化は、シャープが世界で初めてとなる。

世界初のBDXL対応ブルーレイレコーダー「BD-HDW700」

BDXLは、録画データを記録する記録層を従来の2層構造から3層構造へと増やすことで、記憶容量を拡張することが可能な規格で、従来の2層式BDが50GBの容量であるのに対して、2倍となる100GBを実現。DRモードでも、地上デジタル放送で約12時間、BSデジタル放送で約8.6時間の録画可能となっている。4層化した場合には、最大容量で128GBとなる。

シャープ AVシステム事業本部 副本部長兼PDDM副社長 小田守氏

3層のBD-RおよびBD-REであれば、「大容量を活用することで、60分の連続ドラマならば初回および最終回の90分拡大分を含めても、1クール11話分を1枚に収録できる。また、5倍モードを使用すれば、2時間の映画ならば20本分を1枚にまとめて収録。10倍モードならば84時間の録画が可能となり、1時間24話という長編ドラマも4シーズン分を1枚にまとめて収録できるようになる。デジタルハイビジョンを長時間記録し、保存しておくアーカイブ用途や持ち運んで、好みの時間に視聴する用途に適している」(シャープ AVシステム事業本部 副本部長兼PDDM副社長の小田守氏)としている。

BDXLメディアのメリット

シャープ 執行役員 AVシステム事業本部 本部長 中村恒夫氏

今回の製品化は、パイオニアとシャープが長年培ってきた光ディスク技術の融合によって、世界初となるBDXL対応ドライブを開発したことによって実現したもの。パイオニアが66%を出資し、シャープが34%を出資するパイオニアデジタルデザインアンドマニュファクチャリング(PDDM)が開発したドライブとともに、「レーザー、光ピックアップなどBDレコーダーやBDプレーヤーのキーコンポーネントを、PDDMで垂直統合型の開発を可能としていることから、世界初の商品化が可能になった」(シャープ 執行役員 AVシステム事業本部 本部長の中村恒夫氏)とする。

光ピックアップには高出力350mWレーザー迷光制御技術を採用。さまざまなノイズ光のなかから目的の層の信号光だけを取り出すほか、BDドライブにはレンズ駆動制御技術により、高精度でレーザー光の焦点を制御。「BDドライブの内部を2,000倍に拡大すると、地面から60cmの高さを、時速約800kmで飛行する、直径6mのレンズが、2cm間隔の各層に、地面から0.1mmの精度で光の焦点を結んでいることになる」(中村執行役員)という。

4層化した場合、最大で128GBの記録が可能に

パイオニアとともに開発したBDXL用ピックアップ/ドライブ技術

BDドライブ

光ピックアップ

同規格を採用した「BD-HDW700」「BD-HDW70」は、5月31日に製品発表しているが、その時点では、BDXLの規格が固まりきっていなかったために公表していなかった。

BD-HDW700では2TBのハードディスクを搭載。市場想定価格は30万円前後。1TBのハートディスクを搭載したBD-HDW70は20万円前後。

ブルーレイ3Dディスクの再生に対応しているほか。サラウンド音声出力対応ヘッドホン端子の搭載、フルハイビジョン2番組同時10倍録画機能、スカパー!HDハイビジョン録画や無線LANユニット内蔵などによるホームネットワーク機能の強化が特徴となっている。

新しく発売するBD-Rメディア「VR-100BR1」

また同社では、BDXL対応の3層のBD-Rメディア「VR-100BR1」を発売する。100GBの容量を持ち、市場想定価格は5,000円前後となっている。キズを防ぐためのハードコート処理、ワイドプリント仕様のインクジェットプリンタ対応などを図っている。「メディアの価格については、原材料費や技術的な課題もあるが、普及すれば下がることになるだろう」としたほか、「4層BD-Rや3層BD-REといったBDメディアの発売については現時点では未定」としている。

BDレコーダーの国内需要は拡大傾向にある。シャープの調べによると、2010年度は前年比39%増、2011年度は13%増の成長が見込まれており、「2桁の成長が続くことになる。VTRやDVDなどのアナログ放送対応のレコーダーの買い換えが見込まれるほか、BDXLの登場による新たな需要増が見込まれる。シャープにおけるBDXL対応機の構成比は、2010年上期は3%程度だが、2010年下期には55%と半分以上に拡大し、2011年度には100%を見込む。大容量ストレージ時代を切り開いていく」としている。

2011年にはBDXL対応機を100%に

シャープでは、2001年2月に世界初となる60GBのハードディスクを内蔵BSしたデジタルチューナー「TU-HVR100」を発売。2002年12月には世界初のダビング専用のハイビジョンレコーダー「DV-HRD1」を発売。また、2004年12月には世界初の3in1(HDD、DVD、BD)タイプのBDレコーダー「BD-HD100」を発売してきた経緯がある。今回のBDXL規格対応レコーダーでも先陣を切ることで、ハイビジョンレコーディング分野における存在感を高める考えだ。