日本でも様々な都市でシェア自転車サービスが始まっています。その中にはofoやMobikeといった中国から上陸したサービスも展開しています。この2社はいまや中国だけではなく日本やヨーロッパなど、海外へも積極的にサービスを拡大中です。

  • シェア自転車を使ってパリを走ろう

ofoもMobikeも中国で使う場合は中国のモバイルペイメントサービスであるAlipayやWeChatPayに加入する必要があり、日本人にはちょっと敷居の高いサービスとなっています。ところが両社のグローバル展開は一つのアカウントで他の国でもほぼ利用できます。つまり日本のofoやMobikeアカウントを日本で作っておけば、ヨーロッパでもそのままサービスを使えるのです。

  • 中国のシェア自転車大手、ofoの黄色い自転車

ヨーロッパでは数年前からシェア自転車サービスが各都市で始まっていますが、基本的にはサービスステーション貸し借りを行うスタイルになっています。

  • ミラノ地元のシェア自転車サービスはサービスステーションを使う

ofoとMobikeは日本では同様なサービスステーション方式を取っていますが、ヨーロッパでは中国と同じく乗り捨て自由。乗り捨て禁止な場所がある場合もありますが、基本的には道端を歩いて自転車を見つけたらそれに乗り、好きな場所で降りて利用終了となります。もちろん勝手に乗り降りするのではなく、利用開始時には自転車に貼り付けてあるQRコードをスマートフォンのアプリで読み込みます。利用可能であればすぐに鍵があき、レンタル時間が始まります。終了時は自転車を降りて鍵をかけると自動的に返却扱いとなります。

  • Mobikeの自転車の鍵。スマホアプリで解錠できる

サイクルステーション方式の場合は、返却時に駐車スペースがなければ返せませんから、他のステーションを探さなくてはなりません。それを考えるとofoやMobikeのような自由に乗り降りできるサービスのほうが使いやすそうです。

……といったところで、パリの街で実際にMobikeに乗ってみました。シャンゼリゼ通りなどを歩くと、ところどころにオレンジや黄色の自転車が停められています。見てみると地元の人のみならず観光客も自転車のバーコードにスマートフォンを向けて読み取り、解錠してすぐさま乗って去っていきます。

  • パリの街中にはMobikeのオレンジ色の自転車も多くみかける

ヨーロッパの都市はバスやトラムで移動できますが、切符売り場がなかったり路線がわからなかったりと、旅行者によっては使いにくいものです。地下鉄ならばきっぷを買うのも比較的楽ですが、駅間が一定の距離あるのでちょっとした移動には使いにくいものです。

でも自転車であれば街中を目的地まで自分の足で移動できますし、公共交通機関で行きにくい場所へも自在に動けます。パリの町中も、たとえばエッフェル塔のそばへ行ける地下鉄の路線は限られています。でも自転車を使えばエッフェル塔最寄り駅を通り越え、塔のすぐ下にまでも行けるのです。

  • シェア自転車ならエッフェル塔の近くまで移動できる

普段は歩いている町中を自転車で駆け抜けてみると、いつもとは違う風景が見えてきます。徒歩では数十分かかる道のりも自転車ならばあっという間。でも途中の景色やお店を眺めながら移動できるのです。タクシーやバスでは瞬時に通り過ぎてしまいますが、自転車での移動はちょうどいい速度なのです。

今回は日本、中国それぞれの国で普段使っているMobikeのアプリを使い、パリの町中の同社の自転車を借りてみました。アプリを立ち上げると付近にある自転車が地図上に表示されます。目の前に自転車があればそれを借りられます。自転車のQRコードをMobikeのアプリで読み込めば、すぐに解錠され乗れるようになります。

  • 日本で使っているMobikeアプリがそのままパリでも使える

自転車に乗りペダルを踏み込むと、足の裏に石畳からの振動が直に伝わってきます。「パリの街を走っている」ということを実感できるわけです。信号で止まって周りを見れば、地元の人が同じように自転車を止め信号待ちしています。自分がなんだかパリに住んでいるような気分になれるのです。

自転車は歩道ではなく車道の片隅の専用道を走りますから、時には車やトラムの間をすり抜けなければなりません。しかしそれがなおさら「地元感」を高めてくれます。観光地でのシェア自転車の利用は、便利な移動手段を超え、地元との一体感を高めてくれるのです

また自転車を漕ぎながら目的地を急に帰れるのもいいところです。今回はホテルからセーヌ川沿いを走ってエッフェル塔を目指す予定だったのですが、途中でルーブル博物館に立ち寄ることにしました。予定より早い時間に出発して時間に余裕があったので、寄り道する時間は十分。なお料金は30分で0.5ユーロでした。

  • 予定を変更してルーブル美術館へ

ところでMobikeの自転車はメンテナンスフリー、つまりパンクなどの修理が少なくなるような構造になっています。タイヤも空気入りの普通のタイヤではなく、硬質なゴム系の樹脂でできています。そのため石畳の上での乗り心地はやや悪く、段差が高いと乗り越えられないこともあります。気を抜いて運転しているとタイヤが溝にハマって転びそうになってしまうかもしれません。海外でシェア自転車を使う場合はあらかじめ海外旅行保険に入っておくべきでしょうし、運転も日本以上に注意を払うべきでしょう。

いちど海外でシェア自転車を使ってみると、自由に移動できることから時間の有効利用や節約にもなります。次に別の都市に行くときは、シェア自転車が無い都市よりも、ある都市に行きたいと思うようになるほどです。いずれは海外旅行にスマートフォンを持っていく理由がコミュニケーション用途だけではなく、現地で様々なシェアサービスを使うために必須だから、という時代になるのではないでしょうか。