NTTドコモは2日、自転車のサイクルシェア事業を展開する新会社「ドコモ・バイクシェア」を設立したと発表したが、このニュースに違和感を持った人は多いのではないだろうか。ドコモは携帯電話サービスを提供する会社であって、自転車とは結び付けて考えにくい。一体どういうことだろうか。

サイクルシェアリングシステムの特徴。カードリーダーとスマホ・携帯を使ってで自転車の貸し借りが用意に行えるもののスマホ・携帯との関連性は薄いように見えるが……

ドコモ広報部によると、サイクルシェア事業は同社が進めている環境・エコロジービジネスの一環に該当し、それを包含する新規領域事業として収益拡大も見込めるために行っているという。要は新規領域事業とは何なのか、ということだ。それが分かれば、サイクルシェアの位置づけも見えてくる。

ドコモのウェブサイトによると、新規領域事業では、コマース、メディア・コンテンツ、金融・決済、環境・エコロジーなど大きく分けて8つのカテゴリーに分類されるようだ。そして、この新規領域事業の中核的な価値観として置くのが「スマートライフのパートナー」というキーワードだ。

ドコモウェブサイトによると、スマートライフとは、「便利さ」「安心・安全」「楽しさ」といった価値を一人ひとりにもたらす暮らしの在り方を指すとある。そして、こうした価値観を実現するために、従来のモバイル通信サービスに留まらず、サービスプロバイダーとしても、クラウドサービスを活用して事業を進化させている、と記されている。

新規領域事業についてみていくと、料理教室のABC Cooking Studioと手を結んで料理教室の映像配信を行うなど、モバイルは活用するものの、モバイルを中核とした事業とは少し離れたものも見受けられる。サイクルシェア事業もこれと同じだ。自転車の予約などにモバイルを活用することはあるかもしれないが、モバイルを中核とした事業という見方はしないほうがいいだろう。

先に述べたように、ドコモは「スマートライフのパートナー」を目指す企業でもあり、従来のように携帯電話サービスを提供するだけの会社という認識はもう古いのかもしれない。