ヤマダホールディングスとエディオンは、持株会社方式による経営統合に関して基本合意したと発表した。2027年10月1日に持株会社を設立し、その傘下で両社を完全子会社化。持株会社は上場することになる。

  • ヤマダホールディングスとエディオンが、持株会社方式による経営統合に関する基本合意を発表。2027年10月1日に持株会社を設立する

    ヤマダホールディングスとエディオンが、持株会社方式による経営統合に関する基本合意を発表。2027年10月1日に持株会社を設立する

両社では、「相互信頼」と「対等の精神」を基本とすることを強調。当面は、両社のブランドを維持し、併用する一方で、持株会社の名称は、両社の社名とは異なる新たなものとする。

代表取締役会長には、ヤマダホールディングスの山田昇会長兼CEOが就き、代表取締役社長には、エディオンの久保允誉会長CEOが就任する。取締役会やよび社外取締役は、両社から同数ずつ選出する予定であり、選出人数などは今後協議する。本社は東京に設置する予定だ。

持株会社の出資比率は、第三者算定機関による統合比率算定の結果、市場株価などを踏まえて決定することになる。

  • 経営統合で「既存の枠組みを超えた、飛躍的な成長を目指す」

    経営統合で「既存の枠組みを超えた、飛躍的な成長を目指す」

今回の経営統合により、店舗数はフランチャイズを含み、全国9954店舗(ヤマダHDが8774店舗、エディオンが1180店舗)の体制となり、連結売上高は約2兆4855億円(ヤマダHDが1兆6918億円、エディオンが7937億円)、従業員数は3万5895人(ヤマダHDが2万5000人超、9300人超)、会員数は3608万人超(ヤマダデジタルアプリ会員が3100万人超、エディオンカード会員が508万人超)の規模を誇る家電小売グループが誕生する。

売上高では、2位以下のノジマの9828億円(2026年3月期)、ビックカメラの9744億円(2025年8月期)、ヨドバシカメラの8162億円(2026年3月期)の2.5倍から3倍の規模になる。

2026年6月5日午後5時から行われた記者会見では、ヤマダホールディングスの山田昇会長兼CEOと、エディオンの久保允誉会長CEOが並んで出席。

ヤマダホールディングスの山田昇会長兼CEOは、「今回の経営統合は、企業の持続的成長と発展を推し進め、すべてのステークホルダーと未来をつなぎ、家電小売業の枠を超えた価値を創造するとともに、価値を最大化するものになる」とコメント。「エディオンとは、社会変化への対応や、業界が直面する課題に対して意見を交わしてきた。根底にあるのは、『お客様第一主義』であり、お客様の暮らしを支える企業でありたいという共通の思い、強い使命感がある。また、ヤマダHDのくらしまるごと戦略と、エディオンの家電、リフォーム事業、アスターサービス、環境事業などは、深い親和性がある。高齢化社会などの社会構造変化への対応、グローバル化するモノづくりや商習慣への対応、持続可能な社会の実現に向けたESGへの取り組みなど、家電小売業界の課題に留まらず、日本が直面する課題解決に対する考え方や方向性が同じであることが、今回の経営統合に至った最大の理由である」と述べた。

  • ヤマダホールディングス 代表取締役会長兼CEOの山田昇氏

    ヤマダホールディングス 代表取締役会長兼CEOの山田昇氏

また、エディオンの久保允誉会長CEOは、「なぜ、ヤマダHDと経営統合するのか、なぜ今なのか、といった点に関心が寄せられている」と前置きし、「2025年4月に、ヤマダHDから、経営統合について、協議の申し出を受けた。その後、山田会長と複数回に渡り、面談し、協議をした。そこで再認識したのは、両社の事業展開の基本的な考え方には相違がないことであった」と述べた。

  • エディオン 代表取締役会長執行役員CEOの久保允誉氏

    エディオン 代表取締役会長執行役員CEOの久保允誉氏

久保会長は、2013年に、ヤマダHDがベスト電器を傘下に収めたときに、ベスト電器の6店舗を、エディオンが譲り受けることになり、その交渉過程において、山田会長と意見交換を行った経緯があったという。「経営観、商売、志などについて、お互いに話をした。ヤマダHDは、家電、住まい、環境の3本柱で事業を拡大することを打ち出し、とくに、住宅事業に力を注ぐ考えを示していたのが印象的だった。エディオンは、リフォーム事業、リサイクル事業にも取り組んでおり、事業拡大の方向性が同じであることに驚いた」と述べ、「今後も、家電、リフォーム/住まい、環境の3本柱で事業拡大に努めていくことになる。こうした同じ考え方を持っている家電量販店は、ヤマダHDしかない。経営統合に関する協議を進めるなかで、同じ方向を目指し、最大化し、社会課題解決に貢献できるパートナーであると認識した。家電、住まい、環境を三位一体とする考え方を基軸として、新たな価値創造を追求する取り組みをスタートすることができる。既存の枠組みを超えたオリジナルなプラットフォームに進化させ、飛躍的な成長を目指す」と語った。

さらに、「国内家電メーカーは、高価格商品にシフトし、中価格帯以下の商品の品揃えは減少傾向にある。エディオンは、この領域の商品調達を行うために、海外メーカーと直接取引を開始したが、発注数は増えていない。一方で、国内では、家電の配送コストの上昇と配送業者数の不足という課題がある。さらに、店頭で商品を試して、ネットで購入するというケースが増え、それに対応する仕組みを構築する必要もある。そして、循環型社会に対応するために、家電のリユース、リサイクルの体制を強化することも大切である。これらの課題を解決するには時間を要するが、志が一致しているパートナーがいるのであれば、なるべく早いタイミングで経営統合を行うことがベストであると判断した。これが今回の発表につながっている」と説明した。

また、山田会長も経営統合の背景について触れ、「少子高齢化や人口減少、デジタル社会の浸透などにより、国内家電小売市場がかつてないスピードで変化し、オンライン販売業者の台頭や、異業種による家電製品の取り扱いの拡大など、従来の業種の垣根を超えた厳しい競争の時代に突入している。一方、長年、日本経済を支えてきた国内メーカーは、グローバル化による激しい競争のなか、事業ポートフォリオの改善を行うなど、大きな変革の時代を迎え、海外メーカーは、世界市場を対象とした巨額の投資と、量産体制を背景とした圧倒的なスケールを武器に、日本国内での存在感を急速に高め、家電業界に歴史的構造変化をもたらしている。国内家電メーカーのシェアが高い時代は、それを売っていれば済んだが、もはや、そういう時代ではなくなっている。さらに、地政学リスクの高まり、人件費や物流費などのインフラコストの上昇も、影響を及ぼしている。お客様第一の目線で、より良いサービスを提供し続け、企業を持続的に成長、発展させるには、より大局的な見地からの選択が必要であると考えた」と述べた。

経営統合で期待される効果として、3点をあげた。

  • 経営統合で期待される効果

    経営統合で期待される効果

ひとつめは、「規模を活かしたスケールメリットの追求」である。

山田会長は、「経営統合が実現すれば、売上高で約2兆5000億円の規模を誇る小売業が誕生する。事業規模は大きなアドバンテージであり、共同仕入などにより、コスト低減を通じた効率化が可能となる」と語る。商品の仕入原価の低減だけでなく、あらゆる調達コスト低減の可能性を模索するという。

2つめが、「くらしを軸にした事業領域の拡大」だ。

山田会長は、「両社が築き上げてきた強固な顧客接点を相互に活用できる体制を構築し、データ基盤を活用することで、精度を高くして、顧客ニーズを捉えることができる。PB(プライベートブランド)製品やSPA(Specialty store retailer of Private label Apparel)商品の開発能力強化など、単独ではなしえない暮らしを支えるサービスレベルの実現、事業領域の拡大が可能になる」とした。

具体的な取り組みとして、高齢化社会における家電量販店ならではの新たなリファームを提案する商品パッケージの開発などをあげ、山田会長は、「今後の家電小売業界の収益構造の変革も牽引していく」と意欲をみせた。また、「両社の販売量をあわせれば、お客様のニーズにあわせた製品を開発できることにもつながる。プライベートブランド商品の強化や、メーカーへの提案もできる。目に見える効果としては、これが最大のものになる。これをやらないと業界は衰退してしまう」とも語った。

久保会長は、「経営統合によって、郊外での存在感が高まる。郊外において、家電、住まい、環境の取り組みを行うことで、店舗が、お客様の暮らしの重要な拠点になる。持続的な社会の実現に向けたインフラ基盤の役割を果たす」とした。

3点目が、「あらゆる面からの統合効果の追求」である。

経営統合を通じて、全国配送網の強化、サプライチェーンの効率化、グループ経営機能の効率化、サービス体制・機能の強化による効率化と顧客満足度の向上、情報収集能力の強化、M&Aの推進、プライベートブランドの開発および拡大など、様々な成長戦略を検討するという。

久保会長は、「両社の店舗運営ノウハウを共有することで、店舗運営の効率化も可能になる。また、両社がそれぞれに取り組んできたプライベートブランドの研究開発が一層進むことになる。エディオンは、名古屋から西日本エリアにかけて強いが、ECでは全国展開を進めている。全国規模でのロジスティクスの課題も解決できる」と語った。

ヤマダHDとエディオンは、家電業界において、長い歴史を持ち、中心的存在を担ってきた2社だといえる。いずれも創業家がトップを務めている点も特徴である。それだけに経営統合に向けて、意見の擦り合わせの難しさなどを指摘する声もある。

山田会長は、「私は創業者であり、久保会長は実質的な創業者である。2人には迷いはない。文化の違いはあるが、それはお互いに尊重する。そのために持株会社方式を選んだ。私たちは、サラリーマン社長とは違う。これまでにいろいろと経験し、失敗もあったが、私もこの歳になって、大人になっている。業界を発展させていくなかでの役割を考えたい。大局を見誤らないようにすることが大切だ。私が会社をやっている理由は、従業員や取引先に幸せを感じてもらいたいということである。私は財産はいらない。社員に、務めてよかったと思ってもらえる経営を目指す。経営統合はうまく行くと思う」と述べた。

  • 違いはあっても、ともに創業者であり、大局的な視座からの経営を強みとしており、山田会長は「経営統合はうまく行くと思う」と述べる

    違いはあっても、ともに創業者であり、大局的な視座からの経営を強みとしており、山田会長は「経営統合はうまく行くと思う」と述べる

会見のなかでは、エディオンの母体となる第一産業に、テレビのトラブル処理のために、メーカーに勤務していた山田会長が手伝いに行ったエピソードも披露。「エディオンのお客様を大切にするという経営に憧れていた。ヤマダHDが持つサービスを中心とした強みは、エディオンの真似をした」とも語った。

一方、久保会長は、「目指す方向は一緒である。お客様に良いものを、より安く提供することが重要である。ヤマダHDと一緒にやることで、企業価値を高めることができる。タッグを組んで、必ずやっていける。2人でトラブルになるようなことはない。判断する際には、社員にとって良いことなのか、より幸せなことなのかという考え方がベースにある。そして、お客様にとっていいことなのか、業界にとっていいことなのかということを考えれば、自ずといい判断ができる。意見の相違があったとしても、ベースがしっかりしているので安心してほしい」と語った。

エディオンには、ニトリホールディングスが9.67%を出資し、筆頭株主となっているが、久保会長は、「取引などは変わらない。理解をしてもらえるように説明したい」と語った。また、山田会長は、「ニトリの草創期に、一緒に大型店舗を作ったことがある。取り扱い商品が重なるところもあるが、お互いがメリットを生かせる前向きな事業展開を考えることもできる」と述べた。

なお、久保会長は、「新会社が設立した時点で、山田会長(83歳)と私(76歳)の年齢が高すぎるという心配もあるだろうが、持続的な企業環境を高めながら、次の世代にスムーズに、確実な交代が行われることになる」と述べた。

また、エディオンが支援しているJリーグ「サンフレッチェ広島」や、地域支援活動については久保会長が回答。「サンフレッチェ広島のサポーターからも多くのメールが入っている。『心配はない。よくなることはあっても、悪くなることはない』と返事をしている。今後も、スポーツ、アート、教育分野の支援は行っていく。これは山田会長も同じ意見である」とした。