シャープは、駐車場向けソリューション事業の拡大に向けて、新たにコインパーキングシステム用センサー付きポールカメラを開発。2026年9月上旬から受注を開始する。精算機や管理システムと連携したソリューションとして提案。ロック板方式やゲート方式のコインパーキングからの置き換え需要を中心に、導入コストおよび運用コストにおけるメリットを訴求する考えだ。同社では、駐車場向けソリューション事業全体で、2031年までに、国内1万カ所のコインパーキングへのシステム導入を目指す。

  • シャープが開発したコインパーキングシステム用センサー付きポールカメラ

    シャープが開発したコインパーキングシステム用センサー付きポールカメラ

シャープ スマートビジネスソリューション事業本部ワークプレイスイノベーション事業部の畑直行副事業部長は、「高度な車両検知技術により、多様な駐車場の運営効率化と、利用者の利便性向上に貢献し、駐車場を起点とした新たなサービスの創出を目指す」と述べ、「従来から製品化している在車センサー検知システムや、ゲートレス車番認識課金システムに加えて、新たにセンサー付きポールカメラを投入することで、さらに多様なニーズに対応できる」とした。

  • シャープ スマートビジネスソリューション事業本部ワークプレイスイノベーション事業部の畑直行副事業部長

    シャープ スマートビジネスソリューション事業本部ワークプレイスイノベーション事業部の畑直行副事業部長

コインパーキングは、過去20年で、小規模の土地を使用した運用が増加し、駐車場の数が急増。500平方メートル未満の中小規模駐車場が全体の9割を占めている。だが、近年では市場の成熟化に伴い、駐車場数は横ばいで推移。駐車場の新設や拡大よりも、運営の効率化に競争軸が移っているという。

  • 成熟化で駐車場数が横ばいという状況で、運営の効率化に競争軸が移っている

    成熟化で駐車場数が横ばいという状況で、運営の効率化に競争軸が移っている

さらに、ここ数年は、ロック板レス式およびゲートレス式駐車場が増加傾向にある。その背景には、設置コストや維持コストが低く、ゲートバーやロック板の破損といった事故、チケット紛失などの入出庫トラブルが少なくなり、ゲート式では必要だった発券などの手間もかからなくなるというメリットが見逃せない。

「ロック板レス式およびゲートレス式駐車場では、高精度な駐車判定を支える技術の重要性がより高まる。新しい技術で、新しいカタチの駐車場を実現することが求められている。そみにシャープの技術を生かすことができる」とする。

  • ロック板レス式およびゲートレス式駐車場が増加傾向。高精度な駐車判定への技術ニーズが高まっている

    ロック板レス式およびゲートレス式駐車場が増加傾向。高精度な駐車判定への技術ニーズが高まっている

新たに開発したシャープのコインパーキングシステム用ポールカメラは、精算機やカメラなどのハードウェア、クラウド管理システムなどのソフトウェア、画像認識技術といった中核テクノロジーを、シャープ自らが保有している強みを生かし、レーダー、赤外線センサー、地磁気センサーの3種類のセンサーを活用する独自の方式と、カメラによる画像認識技術を組み合わせることで、高精度に入出庫を判定することができる。

具体的には、センサー付きポールカメラによって、車室(駐車スペース)をセンシング。1本のポールで2車室まで対応できる。クルマが駐車すると、撮影データを送信して、精算機で課金を開始し、入庫情報はクラウド上の管理システムに送信する。管理者は、蓄積したデータから駐車場の利用状況や稼働状況を把握することができる。

「ネットワークカメラの死角を補完し、駐車場運営をさらに効率化できる。また、狭小な遊休地や空き地を駐車場として活用する場合にも適している」とした。

また、精算機はタッチパネルを使用し、屋外でも見やすくしている。ここには、ガソリンスタンド向け精算機で約45%のシェアを持つ同社のノウハウを生かしている。また、多様なキャッシュレス決済に対応し、オプションの2次元バーコードリーダーを活用ことで、独自のサービス券などへの対応も可能だ。

さらに、シャープが構築している全国規模でのサービス網を活用したサポート体制も強みになる。

「ハードから運用、保守までをワンストップで提供することで、駐車場の運営のさらなる効率化を支援する」という。

シャープでは、2021年に、コインパーキングを対象にした駐車場向けソリューション事業に新規参入。2024年6月には独自開発の在車センサー検知システムを市場投入し、2025年9月にはゲートレス車番認識課金システムを製品化してきた。

  • シャープの駐車場向けソリューション事業の歩み

    シャープの駐車場向けソリューション事業の歩み

在車センサー検知システムは、中小規模駐車場を対象にしており、在車センサーとネットワークカメラ(PTZカメラ)、精算機を組み合わせたソリューションで、車室ごとに設置した在車センサーで車両を検知して、ネットワークカメラが撮影。撮影したデータをもとに車番を認識することができる。在車センサーは、アンカー止めをするだけで。地面への設置が可能であり、バッテリーを搭載し、精算機とワイヤレス通信が可能となっている。そのため、駐車場の地面を掘り起こす必要がなく、コインパーキングの運用ができる。

また、ゲートレス車番認識課金システムは、大規模駐車場向けで、ドームカメラと精算機で構成。駐車場の出入口にドームカメラを2台ペアで設置し、車両の通過時にドームカメラが前面と後面を撮影。撮影したデータをもとに車番を認識することができる。

  • 中小規模駐車場向けには在車センサーとネットワークカメラ(PTZカメラ)、精算機を組み合わせたソリューション。大規模駐車場向けにはドームカメラと精算機のソリューション

    中小規模駐車場向けには在車センサーとネットワークカメラ(PTZカメラ)、精算機を組み合わせたソリューション。大規模駐車場向けにはドームカメラと精算機のソリューション

シャープでは、この2つのシステムの提案により、これまでに約1000カ所のコインパーキングへの導入実績があるという。だが、狭小の駐車場では、ネットワークカメラの設置が難しい場合があったり、相対的に設置コストが高くなったりすること、駐車場のレイアウトによっては、ネットワークカメラに死角が生じること、積雪時には、地面に設置した在車センサーによる検知が難しくなるといった課題があった。

今回、新たに開発したポールカメラは、こうした現場での課題を解決するソリューションとして新たに投入することになる。

1本のポールに、2基までのカメラ付在車センサーユニットを搭載。車両の入出庫を検知するセンサーと車番を撮影するカメラを一体化しているため、設置台数や配線工数を抑えて導入できるほか、設置スペースを抑えることができる。また、カメラ付在車センサーユニットの向きを設置場所にあわせて細かく調整が可能であり、狭小地やL字型レイアウトなどにも設置しやすい。

  • ポールに搭載されているカメラ付在車センサーユニット

    ポールに搭載されているカメラ付在車センサーユニット

雪の影響を受けにくいのも特徴だ。カメラ付在車センサーユニットは、地上から約70cmあるいは約95cmの高さに搭載しているため、積雪時でも駐車を検知しやすくしているほか、ポールを駐車スペースの後方に設置するため、除雪作業の妨げになりにくいという特徴も持つ。さらに、ポールの本体カラーは、白色に加えて、黄色も選択でき、降雪時の視認性を高めている。

  • 設置場所や設置スペースの柔軟性が高く、雪の影響を受けにくいなどの特徴も

    設置場所や設置スペースの柔軟性が高く、雪の影響を受けにくいなどの特徴も

シャープでは、在車センサー検知システム、ゲートレス車番認識課金システムに加えて、新たにポールカメラ方式をラインアップに加えことで、より幅広いニーズに対応する一方、次世代システムの開発にも乗り出す考えを示した。

カメラ俯瞰式システムと呼ぶもので、カメラの映像だけで車体や車番を認識し、入出庫の検知や駐車の判定を行うことができるという。これにより、コインパーキング事業の拡大に弾みをつける考えだ。

  • ラインナップを拡充し、より幅広いニーズに対応できるよう開発していく。次世代ではカメラ俯瞰式システムを計画

    ラインナップを拡充し、より幅広いニーズに対応できるよう開発していく。次世代ではカメラ俯瞰式システムを計画

シャープの駐車場向けソリューション事業では、「駐車場を、街とつながるプラットフォームへ」を事業コンセプトに掲げ、コインパーキングを、「停める場所から、インフラとして街の移動や暮らしをつなげる」場所へと変革する考えを示す。

シャープが、2021年に、この市場参入してからわずか5年である。市場参入から10年目を迎える2031年には、市場シェア1割の獲得を目指すことになる。