Web解析サービスのStatCounterが公表した2026年7月の米国OS利用シェアで、デスクトップ、モバイル、タブレットを合算した全プラットフォームにおけるWindowsの比率が28.48%で30%を下回った。これは2024年後半以来の低い水準である。また、米国のデスクトップOSではLinuxが前月から5ポイント以上伸び、StatCounterが2009年に統計を開始して以来、初めて10%を超えた。
全プラットフォームでは、iOSが29.15%で首位に立ち、Windowsは2位に後退した。3位はAndroidで19.83%だった。
Windowsの30%割れは、PC市場におけるWindowsの比率が急速に低下したことを直接意味するものではない。StatCounterが示すのは端末の販売台数や稼働台数ではなく、各OSから発生したWebページビューの構成比である。7月はWindowsに加え、OS XとmacOSも前月から低下した。一方、iOSとAndroidは上昇しており、Webアクセス全体に占めるWindowsとOS X/macOSの割合が低下した形である。
原因として、夏季にPCからのアクセスが減り、モバイルの比率が相対的に高まる季節要因は考えられる。ただし、WindowsとAppleのデスクトップOSの低下が直近2カ月に集中しているため、長期的なモバイルシフトや季節要因だけで今回の変化を説明するのは難しい。大きく影響した可能性があるのが、Linuxとして識別されたアクセスの急増である。
Linuxが初の10%超、実ユーザー増加だけでは説明困難
2009年にStatCounterが統計を開始して以降、ChromeOSを除くLinuxの利用シェア(デスクトップOS)は2023年まで数%台で推移し、その後も6%を超えることはなかった。ところが2026年6月に前月から2ポイント増加の6.33%となり、7月は11.92%を記録した。StatCounterの公開データだけを見ると、Linuxが1カ月でほぼ倍増した形である。
ただし、これを個人ユーザーによるLinuxへの大規模な移行と判断するのは早い。Linuxはゲーム互換性の改善や開発環境としての需要、Windows 11のハードウェア要件などを背景に利用を広げている。しかし、StatCounterの6〜7月の急拡大をそのまま実ユーザーの利用シェアの増加とみなせるかについては議論がある。
StatCounterは、世界100万以上のWebサイトで発生する月間30億件超のページビューを基にシェアを算出している。ユニークユーザー数ではなくページビューを集計しているため、特定の環境から自動アクセスが増えると、そのOSの比率も上昇する。同社の説明によると、既知のボットは集計から除外しているものの、AIエージェントによるアクセスのように、従来型のボットとは異なる挙動を示す自動トラフィックをどこまで判別できているかは不透明だ。
PCWorldは、Cloudflare Radarのデータを人によるトラフィックに限定するとLinuxの急増がほぼ見られなくなるとして、AIクローラーなどの自動アクセスがStatCounterの数値を押し上げた可能性を指摘した。
例えば、Windows PCからAIサービスを利用し、クラウド上のAIエージェントがユーザーに代わってWebページを取得した場合、Webサイト側ではエージェントの環境やユーザーエージェント情報に基づいてOSが判定される。そのアクセスがLinuxとして識別されれば、利用者自身はWindowsを使っていても、StatCounterではLinuxからのページビューとして集計される可能性がある。Webアクセスの実行主体の一部が、人間の操作するWindowsやMacから、Linuxを基盤とするクラウドサービスへ移り始めたとの見方も成り立つ。
今回の変動は、ページビューに基づくOS利用シェアが自動トラフィックの影響を受け得ることを示している。一方、自動アクセスのすべてが計測上のノイズとは限らない。検索や調査を代行するAIエージェントの取得結果が人間や企業に利用される場合、その処理もWeb利用の一部と捉えられる。ただし、それはLinux搭載PCの利用者が増えたこととは異なる。今回の数値は、従来の「デスクトップOSの普及率」というより、「Webアクセスを実行する環境の構成比」として捉える方が実態に近い。AIエージェントの普及に伴い、OS利用シェアという指標の意味が変わり始めている可能性を示す事例といえる。

